IRビジネス研究会

アップデートニュース&トピック

2015-12-26 1人当たりGDP OECD加盟国で20位に後退

日本の1人当たりのGDP=国内総生産は、去年は円安の影響でドルに換算すると減るため、OECD=経済協力開発機構の加盟国の中で20位に後退し、1970年以降、最も低い順位となったことがわかった。
内閣府によると、去年1年間の日本のGDP=国内総生産はドルに換算すると4兆6055億ドルで前の年より3045億ドル減り、アメリカ、中国に次いで6年連続で世界3位だった。
一方、国民1人当たりでは、ドルに換算すると3万6230ドルで、前の年に比べて2330ドル、率にして6%減ったことになる。円のままでは1.8%増えているが、安が影響したかたちだ。
OECD=経済協力開発機構に加盟する34か国の中では、おととしの19位から順位が1つ下がり、イスラエルに次ぐ20位だった。日本は1996年の3位以来、経済の伸び悩みを背景に順位を落とす傾向が続いており、比較可能な1970年以降、最も低い順位となった。
一方、1人当たりのGDPがOECD加盟国の中で最も高かったのはルクセンブルクで11万6199ドル、7位のアメリカは5万4353ドル、アジアでは韓国が23位で2万7970ドルだった。OECDに加盟していない中国は7590ドルだった。

2015-12-25 16年度予算案閣議決定 借金頼みの1億総活躍

政府は24日の閣議で、2016年度の当初予算案を決めた。目玉は、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けた関連予算だ。
一般会計の総額は、15年度当初予算より0.4増の96兆7218億円となり、4年連続で過去最大を更新した。高齢化によって年金や医療などの社会保障費が増えるほか、防衛費や公共事業費も伸びた。歳入では、企業業績の改善などに支えられ、新たな借金となる新規国債の発行額をリーマン・ショック前の水準まで減らす。
歳出全体の約3分の1を占める社会保障費は、15年度当初より1.4%増の32兆円としたが、増加幅を5千億円以内に収めるとした財政健全化計画の「目安」は守った。医療サービスの公定価格である診療報酬の改定を8年ぶりのマイナスにするなどして伸びを抑えた。
安倍晋三首相が掲げる「1億総活躍社会」を実現するための予算として、今年度より5千億円増の2.4兆円を確保した。子どもが多い低所得世帯の保育料負担を軽減するなど子育てや介護支援を増やした。
防衛費は1.5%増となり、初めて5兆円を超えた。中国の海洋進出に備えた装備品の購入や、米軍基地の移設工事が本格化するためだ。公共事業費は26億円の微増。農業予算は、農地や排水路などを整備する土地改良事業が7.6%増の2962億円となった。来年の参院選をにらんだ与党の増額要求に応えた。
文教・科学振興費は、教職員定数の削減などで4億円の減少。地方交付税交付金は地方税収が伸びたため、2500億円減って15.3兆円だった。
歳入は、税収が5.6%増の57.6兆円と、25年ぶりの高水準を見込む。新規国債の発行額は6.6%(2.4兆円)減らし、34.4兆円を見込んだ。発行額が前年度を下回るのは4年連続。予算に占める借金の割合は35.6%となり、2.7%幅改善するが、だが、歳入の4割近くを借金に頼る構図は変わっておらず、国民が安心して暮らせる予算への道のりは依然、遠いのが実情だ。
以下にポイントをまとめた。

■医療・福祉 社会保障費は微増
社会保障関係費の総額は、前年度当初比1.4%増の31兆9738億円となった。
1億総活躍社会推進に関連した3分野の事業に比重が置かれた。
「GDP600兆円」に向けて、「正社員転換・待遇改善プラン」に基づき452億円を予算化し、非正規社員を正社員にした場合、1人60万円を企業に助成。新たに定期昇給制度などを導入し非正規労働者の賃金を2%以上引き上げた企業への助成額(下限)を10万円に増やす。中小・零細企業への相談体制も拡充する。

■五輪 若手発掘・育成、17億円
スポーツ関連予算は過去最大の324億円。10月のスポーツ庁創設後初めての予算編成。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて選手強化の充実などを図るため、文部科学省はスポーツ関連予算として過去最大の324億円(前年度比34億円増)を計上した。新国立競技場建設のための費用は政府と東京都が合意した新たな財源の枠組みを活用するため含まれなかった。
選手強化の中核を担う「競技力向上事業」は17.6%増の87億円。五輪、パラリンピック別では、五輪が70.5億円に対してパラリンピックは16.5億円。若手選手の発掘や育成を行う「戦略的選手強化」は今回からは五輪競技だけでなく、パラリンピック競技も対象となり、合わせて17億円を計上した。今後活躍が期待される種目を選んで重点強化を図る。

■復興 早期帰還・生活再建策拡充 福島関連1兆円超え
10年間の復興期間のうち前半の集中復興期間(事業費約25.5兆円)が終わり、後半の復興・創生期間(同約6.5兆円)の初年度となる。復興予算は前年度当初比6618億円減の3兆2469億円となった。全額国費負担だった前半と異なり、地元自治体も80億円負担する。災害公営住宅などに充てる復興交付金は半減される。
6月に閣議決定した福島復興指針の改定は早期帰還を後押しするとともに、事業や生活の再建・自立に向けた取り組みの拡充を掲げた。これを受け福島関連の支援策は前年度当初比3割増の1兆円超に上る。被災中小企業対象の補助金に加え、新たに福島県の避難指示区域と周辺に特化した企業立地補助金を新設し、320億円を計上。原発の廃炉やロボット技術の拠点を福島県浜通り地域に集積するイノベーション・コースト構想関連事業に145億円を盛り込んだ。除染についても早期帰還のため、前年度当初比1075億円増の5249億円に膨らんだ。また外国人観光客らの呼び込み強化のため東北6県の観光対策を大幅に増やした。
一方、災害公営住宅などに充てる復興交付金については「住まいの確保が峠を越えた」(復興庁)として、1477億円に半減した。

■教育 大学入試改革50億円 「いじめ」「不登校」福祉専門家増員
いじめや不登校など学校の課題に対し、外部専門家らと連携して対処する「チーム学校」構想を推進するため、福祉の専門家のスクールソーシャルワーカーを配置する補助事業は15年度比1.3倍増の3047人分を計上した。不登校の子どもの学校復帰を支援する「教育支援センター」計250カ所に、心理の専門家のスクールカウンセラーを配置する。
国立大学86校の基盤的経費となる運営費交付金は前年度と同額の1兆945億円を維持した。大学の機能強化を促すため、各大学に国が指定した三つの枠組み▽地域貢献▽専門分野を生かす▽世界で卓越した教育研究−−から一つを選ばせ、その達成度に応じて翌年度の配分額を決める仕組みを新たに導入する。

■沖縄 子ども貧困対策計上
沖縄振興予算は3350億円で、前年度当初比10億円の微増となった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設に反対する翁長知事と国が対立する中、概算要求額(3429億円)には届かなかったが、要求になかった子どもの貧困対策(10億円)を盛り込んだ。

■環境・科学技術 温室ガス削減へ1380億円
国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で「パリ協定」が採択されたのを受け、国内の温室効果ガスを「2030年に13年比26%削減」する目標に向けた事業を本格化させる。
福島第1原発事故の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)の用地購入費などに約1346億万円を盛り込んだ。
成長戦略の柱となっている「科学技術イノベーション」推進のため、科学技術振興費を1兆2929億円とし、今年度当初予算より72億円増額した。

■地方 自治体の活性化策支援 創生事業費1兆円
東京一極集中の是正と人口減少の歯止めを目指す地方創生関連は、地方自治体の取り組みを促す「まち・ひと・しごと創生事業費」に前年度と同額の1兆円を計上した。「新型交付金」(1000億円)とともに地域特性に合わせた自治体の活性化策を支援する。
16年度の地方の一般財源総額は、前年度に続き過去最大を更新する見込みだが、社会保障関係費の増加が主な理由のため、地方の自由度は少ない。多くの自治体の財政はギリギリで、『創生事業費』1兆円によって何とかやりくりできているのが実情だ。
■サミット・テロ対策 警備費3.8倍、142億円
2016年5月の伊勢志摩サミットの警備費は前年度の約3.8倍となる142億6700万円を計上した。国際テロ対策推進費は14億2700万円。

来年度予算案決定 子育て・介護・TPPなど 重点項目は
来年度予算案では、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」に向けて「希望出生率1.8」や、「介護離職ゼロ」、それに「強い経済」の実現に向けた施策に多くの予算が振り向けられる。

「希望出生率1.8」の実現に関連した施策
<子育て・出産>
▽大きな柱となる「子育て支援」では、平成29年度末までに保育所などの受け皿を新たに50万人分増やすため、保育所の整備費用などとして2748億円が計上された。
▽企業が従業員向けの事業所内保育所などを整備する際に、市区町村の認可がなくても、国からの補助金を受けられるようにする新たな事業として、797億円が盛り込まれた。
<ひとり親家庭などへの支援>
ひとり親や子どもの多い家庭への支援策が拡大される。
<教育>
大学生などへの奨学金事業について、日本学生支援機構が行う無利子奨学金の対象を1万4000人増やすことや、所得に応じて返済額が変わる奨学金の導入を進めるための費用などに合わせて880億円を計上した。
<就労支援>
パートで働く主婦などの賃金を2%以上増やした企業への助成金を、従業員1人当たり1万5000円から5万円に増やしたり、働く人の希望に応じて労働時間を1週間で5時間以上延長した企業への助成金を、従業員1人当たり10万円から20万円に、増額したりする。
これに非正規労働者の正規雇用への転換や待遇の改善などに取り組む企業への支援策と合わせて就労支援の関連で410億円が盛り込まれた。
介護離職ゼロ
親などの介護にあたるため仕事を続けられなくなる人を減らそうと、「特別養護老人ホーム」や「サービスつき高齢者向け住宅」などを2020年代初めまでに50万人分以上増やす費用として、423億円が計上された。
介護をしながらでも働きやすい環境をつくるため、介護休業給付を賃金の40%から、67%に引き上げるため、44億円が計上された。
低所得者対策
所得が低い65歳未満の人で、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給しているおよそ150万人に、1人3万円の臨時給付金を支給するため、450億円が盛り込まれた。

「強い経済の実現」に向けた予算
<IoT・ロボット支援>
インターネットであらゆるモノをつなげる「IoT」と呼ばれる技術やロボット、それに人工知能などを活用して新たなビジネスを生み出そうと、国が主導して実証試験や技術開発を行う費用として、74億円を計上した。
<省エネ設備・省エネ住宅>
最新鋭の省エネ設備を導入する工場などへの補助金や省エネに配慮したビルなどの開発への補助金として625億円を計上した。
<観光>
日本を訪れる外国人旅行者に便利なよう、空港や駅に、海外から持ってきたスマートフォンなどでインターネットが簡単に使えるWi-Fi環境を整備することや、交通機関などの標識の多言語化、それに・旅館のトイレを洋式にする費用などとして200億円が盛り込まれた。
<地方創生推進交付金>
地域活性化に意欲的な自治体の先進的な事業を支援する新たな交付金として「地方創生推進交付金」が1000億円、盛りこまれた。
<6次産業化支援>農家や漁業者と食品の加工業者や販売業者が連携して行う新商品の開発や販路の開拓などを支援するため24億円が計上された。
これらの「一億総活躍社会」に向けた予算は、特別会計を含めて総額でおよそ2兆4000億円が充てられている。

「TPP」対策
TPP=環太平洋パートナーシップ協定の大筋合意を受けて、来年度予算案には農家や中小企業の競争力を強化したり輸出を支援したりする予算も盛りこまれている。
<農業関係>
農産物や食品の輸出を拡大するため、海外での市場調査や、日本の農産物の商談会を開催する費用として13億円を計上している。
また、農家の競争力を向上させるため耕作放棄地を集約して意欲ある担い手の農家に貸し出す、いわゆる「農地バンク」の事業に81億円が盛りこまれた。
このほか、高い収益が見込める野菜や果物を生産できるよう農地を改良するなどの基盤整備を支援する交付金として123億円が計上された。
<中小企業関係>
海外進出を目指す中小企業を支援するため、すべての都道府県に設けている相談窓口の体制を強化したり、専門家を派遣したりする事業に55億円が盛りこまれた。

「復興・原発・災害」
<震災復興>
東日本大震災の復興関連では、今年度の当初予算を6600億円余り下回る3兆2469億円が特別会計に計上された。被災者の心のケアや生活再建の相談支援などを拡充するため、「被災者支援総合交付金」を創設して220億円を計上した。
<原発事故>
東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応では避難指示区域や緊急時避難準備区域に指定された地域を対象に、工場や小売店、飲食店などを建設する費用などを支援する「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」を新たに設け、320億円を計上した。
<災害>
災害関連では、ことし9月の「関東・東北豪雨」など大規模な水害や土砂災害が起きた地域で堤防のかさ上げなどの対策を進めるための予算として478億円が計上された。

「来年度予算案に盛り込まれたそのほかの主な内容」
<教職員定数>
来年度の公立小中学校の教職員定数は、少子化を踏まえ、全体で3475人削減することになった。
<普天間基地移設関連事業>
また、ことし10月、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設に向けて名護市辺野古沖の埋め立て工事に着手したことを踏まえ、護岸工事や埋め立てにかかる費用などとして、1707億円を計上した。
<整備新幹線>
北陸新幹線や北海道新幹線、それに九州新幹線長崎ルートの建設費のうち国の負担分として、今年度と同じ755億円が盛り込まれた。

2015-12-23 来年度のGDP成長率、名目3.1%見通し

政府は22日の閣議で、2016年度の経済見通しを了解した。国内総生産(GDP)の成長率は、実額でみた「名目」で3.1%、物価変動の影響を取り除いた「実質」で1.7%。企業による賃上げが進んで消費が増える想定で、高成長を見込んだ。目標とする「名目GDP600兆円」を達成できるペースに近い高成長を目論むが、業績好調な企業による賃上げ、家計の所得増による消費増、17年4月の消費税の10%アップ前の駆け込み需要など、「経済の好循環」がベースとなっており、実現見通しは厳しい。
政府は試算した成長率をもとに税収を見積もり、24日に閣議決定する16年度当初予算案に反映させる。
名目GDPの実額は518兆円と、97年度(521兆円)以来の大きさを見込む。名目で3%台という成長率も、過去20年以上届いていない高水準だ。
成長率には、17年4月に消費税を10%へ引き上げる前の駆け込み需要の効果を、実質で0.3%見込んだ。総額3.5兆円の15年度補正予算も、成長率を0.3%押し上げるとみた。
一方、15年度の成長率は実質で1.2%、名目で2.7%と見込んだ。
政府は名目GDPについて、今の500兆円から、20年ごろに600兆円に伸ばす目標を掲げている。達成には毎年実質2%、名目3%程度の成長が必要で、今回の見通しはそれに近い数字だ。
過去20年の実質成長率は平均0.8%。名目で3%台の成長は達成したことがない。多くの民間研究機関の16年度成長見通しは、実質約1.4%、名目約2.0%と、政府見通しよりも低い。

2015-12-22 観光庁予算、倍増の約200億円に

政府は21日、2016年度予算案の観光庁関連予算を、今年度当初予算(約99億円)から倍増の約200億円とする方針を決めた。
概算要求の約142億円を大幅に上回る異例の計上となる。観光立国化を目指す安倍首相や菅官房長官の強い意向を反映したもので、急増する訪日外国人観光客のさらなる増加と受け入れ態勢の拡充につなげる狙いがある。
訪日観光客の急増に対応するため、空港や駅など公共交通機関での公衆無線LAN 「Wi-Fi(ワイファイ)」の整備費や、宿泊施設の空き室情報を提供する体制整備の支援、観光周遊ルートの開発促進事業などを盛り込む。通訳案内士の国家資格がなくても、自治体の研修を受ければ、地域に限って有料で通訳ガイドが出来る制度の充実もはかる。

2015-12-17 通常国会冒頭に首相の外交報告で合意

自民党と民主党の国会対策委員長が会談し、来月4日に召集される通常国会の冒頭、安倍総理大臣から、中国・韓国との3か国首脳会議など一連の国際会議や首脳会談について、報告を求めることで合意した。
自民党の佐藤国会対策委員長と民主党の高木国会対策委員長は、年明けの来月4日に召集される通常国会の進め方を巡って会談した。
この中で民主党の高木氏は「野党側が求めてきた臨時国会を開かず、安倍総理大臣の外交日程を優先したのだから、通常国会の冒頭で安倍総理大臣が外交報告を行うべきだ」と主張し、自民党の佐藤氏も受け入れた。
これを受けて、来月4日に召集される通常国会の冒頭、衆議院本会議で、安倍総理大臣から中国・韓国との3か国首脳会議や、G20サミットなど、一連の国際会議や首脳会談について、報告を求めることで合意した。
また会談では麻生副総理兼財務大臣の財政演説を同じく来月4日に行い、それに対する代表質問と、安倍総理大臣の外交報告に対する質疑を合わせて6日に衆議院本会議で行うことでも一致した。

2015-12-15 第190回通常国会 1月4日召集 政府が正式決定

政府は15日午前の閣議で、来年の通常国会を1月4日に召集することを決めた。国会法改正で「1月召集」になった1992年以降で最も早い、異例の早期召集となった。2016年度予算案を、15年度内の来年3までに成立させるため審議時間を確保する狙いがある。会期は6月1日までの150日間。
安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説は、国会冒頭でなく1月下旬に行われる見通し。
菅義偉官房長官は15日午前の記者会見で「憲法の趣旨を念頭において新年早々に召集する」と述べた。
これを受けて、衆・参両院の議院運営委員会の理事会が開かれ、政府は、来年の通常国会を来月4日に召集し、今年度の補正予算案を同じ日に、来年度予算案を、来月22日をめどに、それぞれ国会に提出する考えを伝えた。
14日開かれた衆・参両院の議院運営委員会の理事会には、菅官房長官が出席し、今年度の補正予算案や、来年度予算案などを審議する通常国会を、年明けの来月4日に召集することを正式に伝えた。そのうえで菅官房長官は、今年度の補正予算案を召集日の来月4日に、来年度予算案を来月22日をめどに、それぞれ国会に提出する考えを伝えた。
これを受けて、与党側は、来月4日に、衆参両院の本会議で麻生副総理兼財務大臣の財政演説を行い、これに対する代表質問を5日から始めるよう提案した。これに対し野党側は、「臨時国会を開かず、安倍総理大臣の外交日程を優先したのだから、国会の冒頭で安倍総理大臣が外交に関する報告を行うべきだ」などと主張した。そのうえで野党側は、代表質問の日程について、演説内容を検討する時間が必要だなどとして6日から行うよう求め、引き続き協議することになった。

2015-12-15 おおさか維新の会 橋下代表正式辞任 新代表に松井氏を選出

国政政党「おおさか維新の会」は12日、大阪市で臨時党大会を開き、橋下徹代表(大阪市長)の引退を了承し、後任に松井一郎幹事長(大阪府知事)を選出した。国会議員トップの共同代表には、片山虎之助元総務相が就任することが決まった。橋下氏は党の「法律政策顧問」として引き続き影響力を保持しつつ政策立案に関わる方向だ。
橋下氏は大会で「今19人の国会議員がこのスピードなら5年後、衆院で過半数を確保できる」と述べた。18日の市長任期の満了に合わせて政界引退する意向だ。同党にとっては、来夏の参院選に向けた党勢拡大が課題となる。
松井氏は大会後の記者会見で「憲法は改正しなければならない。憲法改正(発議)に必要な3分の2の勢力の中に入る」と述べ、安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正に協力する考えを示した。幹事長には馬場伸幸衆院議員、政調会長に来夏の参議院選挙に「大阪維新の会」から立候補する予定の浅田 均大阪府議、総務会長に東 徹参院議員がそれぞれ就任する。
橋下氏は党大会後の懇親会で「参院選で自民、公明、おおさか維新で3分の2の議席を目指そう」とあいさつしたという。憲法改正の発議に必要な勢力の確保を目指す考えを示したとみられる。ただ、「与党に入るのではなく、野党のままだ」とし、改憲での協力を強調したという。

2015-12-12 民主・維新 統一会派結成で正式合意 今後の政局は?

民主党の岡田代表と維新の党の松野代表が会談し、来年夏の参議院選挙での連携を強化するため、来年の通常国会に向けて統一会派を結成することで正式に合意し、今後、野党勢力の結集を目指して、各党などに協力を呼びかけることを確認した。
会談には、民主党の岡田代表と維新の党の松野代表のほか、両党の幹事長も同席し、この中で、岡田、松野両氏は、来年夏の参議院選挙での連携を強化するため、来年の通常国会に向けて統一会派を結成することで正式に合意した。また、政策や理念を共有する幅広い野党勢力の協力や結集を目指し、各党や各会派などに協力を呼びかけることなども合わせて確認した。
両党は、衆議院については年内に統一会派を結成する方針で、新しい会派の勢力は、民主党が71人、維新の党が21人、合わせて92人となる。また、衆議院の新会派の名称は「民主・維新・無所属クラブ」とすることも確認した。一方、参議院は、維新の党内で早期の結成に異論が出ていることから、引き続き、結成時期を協議していくことになった。
民主党への合併方式をとった場合には維新の党の一部議員が参加できなくなり、合流の手法に関する結論は簡単に出そうにない。維新の党の国会議員は26人のうち22人が比例代表選出。比例議員は国会法で原則、既存政党への移動を禁じられている。民主党に合併するには、党として機関決定する必要がある。松野頼久代表ら衆院側の比例議員17人は、この手続きを踏めば民主党と合流が可能だ。これに対し、参院側の比例議員5人は全員が旧みんなの党から当選し、後に維新の党に移った。法律上はみんなの党として合併を機関決定しなければならないが、同党は昨年11月に解党した。民主、維新両党が合併方式を選択した場合、この5人は「置き去り」にされてしまう。維新側が新党にこだわるのはこのためで、「衆参両院で一致結束して動くべきだ」(幹部)と民主党に新党結成を迫っている。
新党なら比例議員の政党間移動に問題は生じない。民主党の保守系や中堅・若手議員も同党の解党による新党を主張する。「政権時代の失敗を引きずる民主党のままでは信頼は回復できない」(同党中堅)と、党名変更をはじめ大胆な党刷新を求める声もある。
しかし、解党すれば地方支部も解散しなければならない。来年夏の参院選が迫る中、民主党執行部は、党名を変更しても有権者に十分に浸透しない恐れがあるとみて、慎重姿勢を崩していない。
1998年に野党4党が合流した際、旧民主党以外の党は新党を要求したが、結局、旧民主党を存続政党として他党が合併した。2003年の自由党との一本化も「民由合併」の形をとった。
一方、民主党が社民党と生活の党に対し、維新の党との参院での統一会派に加わるよう打診していたことが11日、分かった。参院で民主、維新、社民、生活4党が統一会派を組めば計70人になる。民主党は参院で相対的に勢力が強いため、参院での統一会派作りを先行する方針。同党の衆院側に、生活の党の小沢一郎共同代表への拒否反応があることも考慮した。
興味深いのは、安倍首相や菅官房長官と近いとされる橋下大阪市長の影響力が強い「大阪維新の会」の今後の出方で、いろいろな意味で年末から年始にかけて政局の「台風の目」となりそうだ。

2015-12-11 警鐘:情けなくないのか観光庁 「観光立国」どこへ

日本を訪れる外国人旅行者の受け入れ態勢を整えるため、政府は、今年度の補正予算案に、いわゆる民泊の支援策など観光振興のための費用として総額でおよそ100億円を計上する方針を決めた。日本を訪れる外国人旅行者は、ことしは年間で過去最高の1900万人台に達すると見込まれる一方で、宿泊施設の不足が課題となっているからだという。
政府による「国家戦略特区」の指定を受けたうえで、東京・大田区が民泊を一定の条件で認める条例案を7日に可決したという。大阪府に次いで2例目。外国人観光客の急増で課題となっている宿泊施設の不足を解消するため、東京・大田区が区議会に提出していた、いわゆる「民泊」を一定の条件で認めるための条例案だとのこと。
外国人観光客の急増で課題となっている、ホテルなどの宿泊施設の不足を解消するため、政府は東京都や大阪府などを、規制緩和を行う特区に指定し、旅館業法の許可を得なくても、空き家やマンションの空き部屋などを宿泊施設として提供する「民泊」を認める計画だとも言う。
このほか、政府は、外国人が手軽にインターネットに接続できるよう、無料のWi-Fiをホテルや旅館に整備する費用を補助するなど、観光振興の費用として総額でおよそ100億円を補正予算案に計上する方針とのこと。
これらの記事を読んで、私同様、つくづく情けないと感じている方がおられるのではないだろうか。なんと付け焼刃的な、その場しのぎのやり方であろうか。ここに日本の国や政府、政治家のやる気のなさ、本腰を据えて日本を観光立国、観光先進国にしようとしてないのが見え見えで悲しくなってしまう。
宿泊施設が不足しているから、とりあえず民泊で凌ごう。そのために政府予算をつぎ込もう。安易な考え方と税金の無駄遣いに辟易してしまう。百歩譲って「民泊」を許しても良いが、その一方で、外国人観光客とビジネス客の増大と宿泊施設を含む彼らへのホスピタリティをどうするのかという今後の重要な課題に対する抜本的対策がなされていなければならないが、何か具体的に進んでいるのだろうか? あるいはプロジェクトチームがあって、具体策を考えているのだろうか? そういう気配はまったく見えない。こういうところにこそ予算を配するべきではなかろうか。
空き家やマンションの空き部屋を宿泊施設として収入を得るなら、国が援助などせず、事業者が自分で投資してやるべきなのだ。ホテルや旅館にWi-Fiを整備することも補助する必要がどこにあるのか。今や、Wi-Fiはホテルや旅館が当然装備していなければならないものであって、彼ら自身が設備投資すべきものである。政府が補助する必要などどこにもない。Wi-Fiを整備したいなら、観光施設など公的な場所等に整備すればよい。
何が「国家戦略特区」だ。国の予算を使わず、民間の投資と事業で、国や地方に収益をもたらすIR(統合型リゾート)のようなものにこそ、「国家戦略特区」に指定すべきだろうと思う。

2015-12-10 地方創生相 観光の司令塔「DMO」を100か所展開へ

石破地方創生担当大臣は、北海道・千歳市で開かれた会合で、地域の観光戦略を練る司令塔となる新たな組織を、全国に100か所展開し、観光を振興することで地域経済の活性化につなげたいという考えを示した。
政府は、地方創生に向けて、地域の労働生産性の向上や雇用の拡大などの具体策を検討するため、経済界や有識者らと「地域しごと創生会議」を新たに設け、2回目となる8日は、北海道千歳市で会合を開いた。
会合では、「DMO」と呼ばれる地域の観光戦略を練る司令塔となる組織を作り、ホテルや旅館、飲食店などと連携し、地域の活性化を進めている取り組みが報告された。このあと石破地方創生担当大臣があいさつし、「『DMO』をなるべく早く全国に100、展開したい。数ありきではなく、まさしく意味のあるものを作りたい」と述べ、観光を振興することで地域経済の活性化につなげたいという考えを示した。
DMOとはDestination Marketing/Management Organizationの略で、地域全体の観光マネジメントを一本化する、着地型観光のプラットフォーム組織を指す。欧米では一般的だが、日本では行政、観光業者、地域住民らの立場が分断されている現状がある。
モデルとなる欧米のDMOの特徴は、官民協同組織であること、ホテルや観光商品の販売など消費者に対してはワンストップでサービスを提供すること、事業収入やホテル税で自主財源を確保していること。また、スタッフはすべて正規雇用で、自治体からの出向者はいないことなどだ。
たとえばDMOとして機能するバルセロナ観光局では、2013年の予算4400万ユーロのほとんどを自主財源でまかなっている。バルセロナ観光局がMICEを誘致すると、提携した会員ホテルから誘致経費として宿泊料の2%を徴収するという仕組みだ。
また、ロンドン&パートナーズでは、すべての活動をROI(費用対効果)で評価する。いずれも会費や補助金に頼らず、会員との「一定の緊張感をもった」パートナーシップで運営されている。
従って、権限、責任、成果評価システムを備えた新しい組織としてのDMOの構築に加え、行政とDMOの役割分担を明確にすることが重要となり、「官が民に寄り添ってサポートする」新しい関係という新しい発想が必要とされる。

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