IR(総合型リゾート)研究会

アップデートニュース&トピック

2016-02-26 人口減少時代到来 5年間に0.7%、100万人弱減少

ついに来るべき時が来た。頭では理解していても、やはり衝撃は隠せない。
高市早苗総務相は26日の閣議で、2015年国勢調査の人口速報値を報告した。
2015年に行った国勢調査によれば、日本の人口は1億2711万47人で、前回・5年前の2010年の調査と比べて94万7000人余り、率にして7%減った。男性は6182万9237人、女性は6528万810人。大幅な移民や難民の受け入れなどない限り、減少は今後さらに加速する。
国勢調査で人口が減少したのは調査開始以来初めてで、総務省は「外国人の増加など社会的な人口増加よりも、死亡者数が出生者数を上回る自然減のほうが毎年大きいことが、一番の要因と考えられる。日本は人口減少の局面に、はっきり入ったと言えるのではないか」と説明している。同省が毎月発表している推計人口では08年に総人口のピークを迎えたが、10年の前回国勢調査では在留外国人の増加などの影響で、05年比0.2%増だった。
5年ごとに行われる国勢調査で日本の人口が減少したのは、95年前の大正9年(1920年)に調査を始めてから今回が初めてとのこと。
都道府県別では、前回より人口が増加したのは、東京・愛知・埼玉など8つの都と県で、このうち沖縄と福岡では人口増加率が前回を上回った。一方、人口が減少したのは39の道府県で、大阪が増加から減少に転じたほか、茨城や三重、大分など33の道府県では人口減少率が前回より大きくなった。
大阪府が68年ぶりに減少するなど39道府県で人口が減り、東京圏への一極集中が進んでいることがわかる。東京圏の人口は3613万人で、5年間で51万人増加。全国に占める割合は0.6ポイント高くなり、28.4%に達した。増加率が最も高かったのは沖縄県の3%。
大阪府は0.3%の減少。第2次世界大戦後の1947年の臨時国勢調査以来で、10年調査で人口が増加していた9都府県のなかでは唯一、減った。大阪市内は1%増だが、郊外の市町村で減少が目立つ。
日本全体の人口が減るなか、増加を維持したのが東京圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)と愛知、滋賀、福岡、沖縄の各県。東京都の人口は1351万人と2.7%増えた。
市町村別では、全国に1719ある市町村のうち1416市町村で人口が減少した。人口が減少したのは全国の市町村の82.4%に当たり、前回に比べて6ポイント多くなった。
人口増加率が最も高かった市町村は、福岡県新宮町の22.9%で、逆に人口減少率が最も高かったのは、全域が避難指示区域となっている自治体を除くと、福島県楢葉町の87.3%だった。
また、世帯数は5340万3226世帯で、前回より145万世帯余り、率にして2.8%増えた一方、1世帯当たりの人員は2.38人と、前回を0.08下回り、核家族化の進展に歯止めがかかっていないことが分かった。
15年調査の人口を国連推計による各国の人口と比較すると、日本の順位は10年調査時と同じ10位。しかし、11位のメキシコとの差は10年時点で約900万人あったが、15年では10万人弱まで縮まった。
国勢という名前の通り、人口は国の勢いを示すバロメーターだ。国の勢いが衰えて行くのを、指を加えて見ていては、この国は立ち行かなくなる。深刻な問題だ。票集めのばらまき政策ではなく、今こそ未来を見据えての施策と投資が必要だ。次世代、次々世代に勢いを持続した「日本」を引き継いでもらうために。

※国勢調査: 日本の人口や国民の就業実態などを把握する5年に1度の統計調査。総務省が約70万人の調査員を動員し10月1日時点で全世帯を対象に実施する。日本に3カ月以上住む外国人も含む。調査結果は最も実態に近いとされ、福祉政策や災害対策、選挙制度などの基礎データにする。
西暦の末尾が5の年は簡易調査と呼ばれ、性別や生年月日、就業状況、就業地、世帯数など基本的な17項目を調べる。末尾が0の年の大規模調査は学歴や利用交通手段など、質問項目が増える。

2016-02-23 民主と維新、3月合流で大筋合意 新党名を検討

新党結成に向けた協議を続けている民主、維新両党は3月に合流することで大筋合意したと各紙が報じた。
維新が解党して民主への吸収合併を受け入れ、民主は党名を変更する案で最終調整に入る。23日午前、岡田代表や枝野幹事長ら幹部による会合を開き、参議院選挙で自民・公明両党に対抗するためにも、両党の合流を最優先すべきだという認識で一致し、結党大会を開く意向を示し、維新との合流について了承を得た。夏の参院選へ政権への対抗勢力の結集を優先すべきだと判断した。
一方、維新の党の執行部も、民主党が党名などの変更に応じるならば、両党の解党による新党結成にはこだわらず、民主党に参加する形での合流に応じる方針で、松野代表は23日に開かれた党の執行役員会で「全く新しい党名の、新しい形の新党を作ろうということでお諮りしたい」と述べ、最終調整を進める考えを示した。
形式的には維新が民主に合流する形となるが、党名変更などで新党結成色を出すことも検討する。新党名は今後の協議で詰めるといい、維新幹部は「少し時間をおいてから、世論を聞くなど透明性の高い手法で決めたい」と語る。民主内では、略称が「民主」になる「立憲民主党」などが検討されている。民主を分党して新党を設立すれば、国会法の規定で政党間移動を制限される維新の比例区選出の参院議員も新党に参加が可能になる。維新幹部は「解党的新党であることが大事だ」と語る。
民主党と維新の党は、夏の参議院選挙に向けて合流の可能性を探るため、岡田代表と松野代表が調整を続ける中、維新の党が両党の解党による新党の結成を求めているのに対し、民主党は解党には応じられないとして、平行線が続いていた。
両党は24日に合流案を党内に諮った後、党首会談で正式合意する方向で調整している。両党執行部は「新党準備協議会(仮称)」を近く設置し、新たな綱領や基本政策を検討する考えだ。
刷新イメージを鮮明にするため、合流の方式は、維新の解党とともに、民主党所属議員も1人を残して全員がいったん離党し、新たな名称となった民主党に再結集する形を取る。1998年に民政党や新党友愛などが解党して民主党に合流し、「新民主党」に移行した手法を踏襲する。
ただ、民主党内では、ベテラン議員を中心に党名の変更に慎重な意見があるほか、維新の党内では、江田前代表ら旧結いの党出身の議員らが、両党が解党して新党を結成すべきだと強く主張していることから、両党の執行部は丁寧に意見集約を進める方針だ。
これに対し、自民党の谷垣幹事長は記者会見で、「どういうことを目指しているのかというアイデンティティがなければ、政党としてはいかにも未成熟だと言わざるをえない。選挙のためだけに大同団結することになると、野合というそしりは免れない」と述べた。

2016-02-18 民主・維新合流、当面先送り

民主党の岡田克也代表は、維新の党との合流を夏の参院選後に先送りする方針を固めた。枝野幸男幹事長と16日に協議し、一致した。近く党内に説明し、維新に「新党準備協議会」(仮称)の設置を呼びかけて合流協議の継続をめざす。今後は、両党を含む野党が参院選でどのように連携できるかが焦点となる。
民主(衆参131人)と維新(同26人)は昨年12月、衆院で統一会派を結成し、参院選前の合流について協議を続けてきた。両党の解党・新党を求める維新に対し、民主は「選挙準備が間に合わない」として吸収合併を主張。その場合、比例議員の政党間移動を制限する国会法の規定で参加できない維新の参院議員に配慮し、民主と維新の参院を分党して合流させる案も検討したが、党内の理解が得られなかった。また参院選が迫る中、野党勢力の結集に向けた具体的な戦略をまとめきれていないことも先送り判断につながった。
維新の党は、幅広い野党勢力の結集につなげるべきだとして、両党が解党して新党を結成することを求めており、党内からは参議院選挙の準備も考慮して、「今月中に合意できなければ協議を打ち切るべきだ」という意見も出ている。
一方、民主党の幹部の間では、「解党には地方組織も含めて膨大な事務手続きが必要になる」などとして、「維新の党の議員が民主党に加わる形の合流を目指すべきだ」という意見が強まっており、「維新の党が譲歩しない場合、協議を参議院選挙以降に先送りすべきだ」という声も出ている。
民主党の岡田代表と維新の党の松野代表は引き続き、合流の可能性を模索する考えだが、維新の党が、両党が解党して新党を結成することを求めているのに対し、民主党は解党には否定的で、意見の隔たりが大きいことから、両党の幹部からは「当面、合流は難しいのではないか」という見方も出始めていた。
岡田氏ら民主執行部は維新との統一会派を維持し、選挙協力についても引き続き協議する構えだ。だが、維新は「参院選前の合流がなければ統一会派も解消する」と主張しており、反発が予想される。民主内でも前原誠司元代表らが解党・新党を求めた経緯があり、意見集約までに曲折がありそうだ。

2016-02-18 「橋下氏政界復帰当面ない」松井おおさか維新代表 選挙応援目的の活動も自粛

おおさか維新の会の法律政策顧問を務める橋下徹・前大阪市長が4月からテレビのレギュラー番組に出演することに関し、松井一郎代表(大阪府知事)は17日、「テレビ局との契約がある。当面、政界復帰はない」と述べ、党内に待望論のある橋下氏の夏の参院選出馬を否定した。府庁で記者団に述べた。松井氏はこの日、大阪府庁で記者団に「政界復帰は当面はない」と語り、参院選と、参院選までに衆院が解散された場合でも擁立しない考えを明言。「テレビとの契約があるので外に向けて、例えば選挙に深く関わって街頭活動をするということはないだろう」と指摘した。
法律政策顧問は「ずっと続けてもらう」と述べ、憲法改正に向けた議論など政策立案には加わってもらうとの方針を改めて示した。

2016-02-17 予算案 衆院採決にらみ 与野党駆け引き活発に

円高ドル安を背景に株安が続くなか、与党側は、衆議院予算委員会で、新年度予算案の採決の前提となる中央公聴会を速やかに開催し、今月中に衆議院を通過させたい考えだ。これに対し、民主党などは、安倍政権が進める経済政策の問題点について徹底的な審議を求めていく方針で、衆議院での採決もにらんだ駆け引きが活発になっている。
新年度・平成28年度予算案を審議している衆議院予算委員会は、15日、経済や地方創生をテーマに、安倍総理大臣にも出席を求めて集中審議を行うほか、17日には福島県郡山市と高松市で地方公聴会を開くことになっている。
与党側は、自民党の二階総務会長が「新年度予算案を一日も早く成立させることが最大の景気対策であり、審議が渋滞しないよう、しっかり対応をしていく」と述べるなど、外国為替市場での円高ドル安を背景に株安が続くなか、予算委員会での採決の前提となる中央公聴会を速やかに開き、採決の環境を早期に整えて、今月中に衆議院を通過させたい考えだ。
これに対し、民主党は、岡田代表が「今の株価の状況は、アベノミクスが機能しておらず、破綻したことを示していると言われてもしかたがない」と述べるなど、今後の審議で安倍政権が進める経済政策の問題点を指摘し、徹底的な審議を求めていく方針だ。
また、民主党などは、甘利前経済再生担当大臣を巡る問題に加え、丸川環境大臣が被ばく線量の目標を巡る発言を撤回した経緯なども追及していくことにしており、予算案の衆議院での採決もにらんだ与野党の駆け引きが活発になる見通しだ。

2016-02-16 1月の訪日外国人、52.0%増の185万1800人で過去最高

先月、日本を訪れた外国人旅行者は円安基調が続いていたことなどから、1年前の1.5倍に増えて185万人となり、1月としてはこれまでで最も多くなった。
日本政府観光局が16日発表した1月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比52.0%増の185万1800人だった。1月としての過去最高を更新し、単月では昨年7月(約191万8000人)に次ぎ過去2番目の高水準だった。円安基調が続き日本での買い物に割安感が出ているほか、航空路線の拡大や燃油サーチャージの値下がり、ビザ(査証)の発給要件の緩和などが寄与した。
国・地域別では韓国が最も多かった。43.8%増の51万4900人となり、単月で韓国からの旅行者数としては初めて50万人を超えた。2番目に多かったのは中国で、2.1倍の47万5000人。1月では最高となり、15年12月(82.7%増)から伸び率が拡大した。このほか、台湾(47.9%増の32万1000人)や香港(42.5%増の12万5000人)が続いた。オーストラリアからの訪日客数も単月の最高を記録。米国やタイ、マレーシアなど主要市場から日本への旅行者数は、ロシアを除き軒並み1月の最高を更新した。
日本政府観光局は「ことしに入っても、われわれが想像した以上に外国人旅行者が日本を訪れている。中国経済の減速が指摘されているが、現地の旅行会社などに聞く限り、旧正月の春節を迎える今月も極めて好調と聞いていて、減る気配は今のところ感じない」と話し、2月も、アジア地域で春節(旧正月)があったことから「2015年からの傾向を踏まえれば、訪日旅行者数の増加が期待される」とした。

2016-02-15 実体経済と金融市場のずれ 10~12月実質GDP、年率1.4%減 2期ぶりマイナス 消費・住宅投資が低迷 予想外の輸出減 インバウンドも波乱要因

去年10月から12月までのGDP=国内総生産の伸び率は、個人消費が大幅に落ち込んだことなどから前の3か月と比べて物価の変動を除いた実質でマイナス0.4%、年率に換算してマイナス1.4%と2期ぶりにマイナスとなった。
内閣府が15日発表した2015年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.4%減、年率換算では1.4%減だった。15年7~9月期(年率換算で1.3%増)から下振れし、2四半期ぶりのマイナス成長に転じた。個人消費や住宅投資など国内需要が低迷する一方、輸出も低調で、景気は足踏みが続いている。
その一方で、15日の東京株式市場で、日経平均株価は、GDP速報値が悪かったにも関わらず、4営業日ぶりに大幅反発。前週末比1069円97銭(7.16%)高の1万6022円58銭と、今年最大の上げ幅を記録、3営業日ぶりに1万6000円台を回復した。
日経新聞は、マイナス幅こそほぼ民間予測通りだったものの、個別項目では予想外の結果もあったと伝えている。輸出が前期比0.9%減と、民間のプラス予想に反して落ち込んだこと。モノの輸出に連動して輸送サービスが落ち込んだほか、訪日外国人(インバウンド)消費の伸びが一服したことが響いたとの見方も出ているとのこと。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.3%減、年率では1.2%減で、名目でも2四半期ぶりのマイナスとなった。実質GDPの内訳は、内需が0.5%分のマイナス寄与、外需は0.1%分のプラス寄与だった。
項目別にみると、GDPの6割を占める個人消費は0.8%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。前四半期(0.4%増)から減少に転じた。テレビやパソコンが大きく減少し、11〜12月の暖冬の影響で冬物衣料やガソリン・灯油も減った。円安に伴って食品などが値上げされる一方で、賃金の伸びが依然鈍く、消費者の節約志向が高いことも影響している。価格上昇を背景に住宅投資は1.2%減で4四半期ぶりマイナスとなった。新設住宅着工件数が昨年6月をピークに減少傾向にあり、マンション価格の上昇による買い控え傾向も出ているという。過年度の補正予算の効果が一巡した公共投資は2.7%減で2四半期連続のマイナスだった。
一方、設備投資は1.4%増と2四半期連続のプラスとなった。底堅い企業収益から更新需要などがみられた。企業が手元に抱える在庫の増減を示す民間在庫の寄与度は、0.1%のマイナスだった。
輸出は0.9%減、輸入は1.4%減だった。輸出は減少したが、原油安を受けて輸入量が減少し、GDP成長率に対する外需寄与度はプラスを確保した。GDPで個人消費ではなく輸出に計上されるインバウンド(訪日客)需要は輸出を下支えした。
2015年度の実質成長率が内閣府の試算(1.2%程度)を達成するには、16年1~3月期で前期比年率8.9%程度の伸びが必要になるという。同時に発表した15年暦年のGDPは実質で前年比0.4%増、生活実感に近い名目で2.5%増となった。
石原伸晃経済再生担当相は同日の記者会見で、「金融市場での変動が見られるが、日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は良好で、変化があるとは思わない」との認識を示した。
だが、年明けからは世界経済の停滞感が強まっている。国内では円高・株安が進み、輸出や消費への悪影響が懸念されている。エコノミストの間では、早くも「1~3月期もマイナス成長となる可能性がある」などの声があり、景気のけん引役不在が改めて浮き彫りになったかたちだ。
足元では世界的な金融市場の混乱の渦中にあり、日本経済は大きな試練に立たされている。円安などを背景に企業業績は好調だが、賃金の上昇を通じて消費を拡大するという、安倍政権が目指す「経済の好循環」の実現は遠いのが実情だ。
また、年初からの世界的な金融市場の動揺はいまだ収まっていない。日銀はマイナス金利の導入を決定し、動揺を鎮めようとしたものの、株価の下落や円高の進行に歯止めをかけることはできなかった。15日の東京株式市場は、前週末の欧米市場の株価上昇を好感して大幅に反発したものの、春節の休場明けの同日の中国・上海市場は大幅に下落して取引が始まるなど、不安定な市場の動きは解消されていない。
世界経済の減速懸念や金融市場の動揺に対して、政府や日銀の打つ手は限られており、市場では、先行きの景気も「当面は緩やかな回復にとどまる」との見方が大勢だ。
10~12月期と15年通年のGDPは、今後発表される設備投資や在庫などの統計をふまえて改定し、3月8日に2次速報として発表される。

2016-02-15 レポート:第6回「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」ワーキンググループ・ヒアリング&意見交換(第3回)

観光庁観光戦略課の主催する「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は、訪日外国人旅行者数2000万人の目標達成が視野に入ってきたことを踏まえ、次の時代の新たな目標を定めるとともに、必要な対応の検討を行うための政策会議だ。内閣官房長官を座長(座長代理は国土交通大臣)とするワーキンググループは、その明日の日本を支える観光ビジョン構想検討の高度化のため、ヒアリングや意見交換等を行う。
平成27年12月1日に第1回が開催されて以来、6回にわたっておこなわれてきた。直近の第6回は平成28年1月26日)に開催され、各界の有識者が一堂に会し、ヘアリングと意見交換がおこなわれた。将来の日本の観光戦略に関しての示唆に富んだ建設的な意見が多く、どれも、大変、参考になる、一読に値するものばかりだ。
以下に第6回「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」ワーキンググループでの事務局ヒアリングにおける有識者の主な指摘ポイントを抜粋したものの第3回(最終回)をお届けする。ご参照ください。

【星野 佳路(株式会社星野リゾート 代表)】
○国有林の活用に苦労している。白神山地では世界遺産に指定されてから集客が減っている。
○宿泊業以外の土産物屋レストランにも地方の観光組合に入ってもらう必要がある。
○若者の旅行参加率が落ちている。目標設定をして増やしていくべき。
○年間100日に集中する需要を分散させることがポイント。地方にも健全な競争環境の存在が重要である。
○観光の総需要はある。問題は利益が出ていないこと。利益がでないところに投資はない。生産性を向上させるには、まず経営者の実力。作業効率を上げることやトレーニングシステム、需要予測が重要。サービス残業を放置していることは問題。
○生産性・収益性を高めるため、競争が必要。
○利益を出して雇用を呼び、投資に結びつけていくことが重要。
○投資はノウハウとセットでなければ意味が無い。経営者の延命ではなく、労働環境が上がるようにしなければならない。

【本保 芳明(東京工業大学特任教授)】
○産業競争力の強化が必要。旅行会社やホテルチェーンなどが海外でビジネスをする際の支援の仕組みなどを構築していく必要がある。
○観光ベンチャーの育成システムを立ち上げることも必要なのではないか。
○スキー場はニセコのように国際リゾートとして大化けする可能性があり、外資系のファンドが投資しやすい環境を整備する必要がある。
○国際的に英語圏で活躍している教員を活用するための環境整備が全くできていない。
○観光のMBAのような仕組みを構築できればよいが、担当する教員の確保も難しく、学生を集めて経営が成り立つかの見通しが困難。
○観光を推進している大学において、大学と産業界との間でカリキュラムや育成方針を議論する場をつくってもいいのではないか。

【増田 寛也(東京大学公共政策大学院 客員教授)】
○観光の中で、自然も文化財も伝統芸能も農業も使っていく。規制を少し緩めることも必要。観光客にも金銭的に負担してもらい保存の財源に。利用・保存の双方がより強く・より良くなる関係が重要。
○守るべき風景などは徹底的に維持すべき。そのためには、原風景を維持して、そこに人が集まってくる成功事例を示すことで素晴らしいところとの落差を見せると広告や景観に対する規制への理解が得られやすい。
○地域は誰に相談していいか解らず困っている。Step by Stepのアドバイスが必要。観光カリスマみたいな人が手厚く継続して指導することが必要。
○数人のチームで地域に入り、改革できる人材を派遣する仕組みが必要。併せてチームが使える投資マネーも一部つけると改革が進む。若者実働部隊の派遣も必要。
○東北の持つ静かな環境に親しみたい人々を呼び込む仕掛け・メニューが必要。
○地域にいる障がいを有する方々や高齢者を巻き込むことで人材に広がりができる。

【眞野 ナオミ(株式会社ラグジュリーク 代表取締役社長)】
○情報発信をする際は、世界的な建築家やアーティストと連携すると効果的。
○富裕層は強いこだわりをもって日本へ来るので、パッケージ化できるものではない。
○富裕層は、臨機応変に対応できる企業や店舗が求められる。特に食へのこだわりは強く、日本のスタイルだとしても富裕層に合わせなければいけない。
○日本人は英語が話せないというイメージを変えて、日本にアクセスしやすくすることが大切。
○富裕層をどう満足させたいのかを理解することが重要。
○富裕層は、日本人のこだわりを受け入れられないこともあるため、臨機応変な対応が求められる。特に「食」へのこだわりが強い。

【三木谷 浩史(楽天株式会社 代表取締役会長兼社長)】
○訪日外国人旅行者をフォローアップする仕組みを作れないか。直接の声が入れば、改善すべきポイントが明確になる。
○低廉な航空運賃は旅行需要活性化のカギであり、LCCの拡大が必要。4D管制で容量を充実強化することや横田基地の活用を図るべき。
○これからは車を持つのではなくシェアするようになる。日本でもライドシェアができるようにすることが必要。
○海外ではAirbnbがなければ旅行に行かないという人もいる。ホームシェア(民泊)の導入にもっと前向きに対応すべき。
○日本だけがFelicaを使っていることが将来問題にならないか。外国人旅行者が使える世界標準のNFCのType-A、Type-Bが利用可能な環境を整えるべき。
○イスラエルでは10万円以上の支払いはキャッシュレス決済にしなければならない。電子マネーの利用により消費額が増えるはずである。キャッシュレス決済をマストにするのも一つのアイデア。
○地方の観光産業の労働力が足りていない。労働力確保のためビザの緩和は必須。
○オープンな無料Wi-Fiを日本全国に広げるべき。Wi-Fi環境を利用して楽しかった経験をSNS等で広げてもらえれば、日本に行きたい人が増える。これらと様々な制度の整備を図れば1億人は自然体で達成できる。

【御立 尚資(ボストン・コンサルティング・グループ シニア・パートナーアンド・マネージング・ディレクター)】
○重要なのは、観光産業の生産性向上を通じた賃金アップと正規雇用増、財政出動を極小化したボトルネックの除去、地域自身の意欲と能力向上、の3点。
○生産性向上には、高単価顧客の取り込み、そして観光産業のオペレーション効率改善が不可欠。
○高単価顧客獲得には、すべての空港へのプライオリティレーン設置など、一種差別的な扱いを行うことが必要。
○オペレーション効率をあげるには、小規模事業者が多数分散している業界構造、ならびに調理、フロント、接客など縦割りで人の稼働率があがりにくい事業特性を前提に施策を打たねばならない。
○「小規模事業者自身では構築できない、予約・顧客管理・プライシングのマネーと地域事業者を結ぶようなプラットフォー ム」を作り上げる、といった仕掛けは有効なはず。観光地や宿泊先のレーティ ングも、公的な機関がやるのではなく、ユーザーレビューを活用したトリップ アドバイザーなどに近い仕組みの方が効果的。マネージメントを可能にするクラウドサービスなど、デジタルプラットフォームの立ち上げ」を支援する、さらには、「地域の歴史・文化や魅力を多言語で発信するためのサポーターNPOと地域事業者を結ぶSNSのようなプラットフォーム」を作り上げる、といった仕掛けは有効なはず。観光地や宿泊先のレーティングも、公的な機関がやるのではなく、ユーザーレビューを活用したトリップアドバイザーなどに近い仕組みの方が効果的。
○旅館のオペレーション効率改善には、多能工化による人の稼働率向上、業務の定型化による教育訓練効率のアップ、などの手がある。
○賃金をあげていく上では、ツーリズム業界の中堅人材を教育する機関が必要。工業化の時代に、工業高専ができたように、地方にサービス高専を作ることも一案だと思う。
○現在のボトルネックのうち、宿泊施設は投資までの時間差という側面もある。地域によっては、容積率見直しなどが必要だが、投資意欲自体は高まっている。
○インフラのボトルネックとしては、ソフトインフラだがCIQの問題が大きい。ここも民間委託、IT化を徹底して、公務員定数が増え続けることは避けるべき。空港、港などのハードインフラはコンセッションがやはり有効。

【宮田亮平(東京藝術大学学長)】
○日本は「祭り」が魅力。日本全国の各地域の祭りを世界にPRすべき。
○総合的に進めていくことは大切。観光は芸術、観光は人、観光は歴史。このままではリピーターは来ない。
○鯖江の技術はすごい。再びこれを使おうとしてくれることになれば、それは技術によるリピーター。我が国の技術やデザインは、鍛えてもらいたい。
○「芸術」を、観光立国を進めるための柱の一つに入れてほしい。
○田舎の風景を守ることも大切。アンドレマルローは、公共事業の1%を無条件で環境に費やすといったことを行った。そのような絶対的な制度を日本でも作るべきである。
○ベネチアのようにコンセプトが統一された都市作りを進めるべき。
○フランスのナント市では、文化や芸術が大切だということを、教育で浸透させた。何年もかかったが文化が大切だと思う市民にした。
○標識がないことは問題。四つ辻の信号にも何も書いてないこともある。

【村瀬茂髙(WILLERTRAVEL株式会社代表取締役)】
○分かりやすい指標で地方毎の数値目標を、作るべき。地方でビジネスが成立することを予感させるような仕組みや動機付けが構築出来れば、自然と地方への投資が促進される。
○成田、関空や中部などの主要国際空港から全国各地の観光地へ高速バス路線が設置され、空港から簡単にどこへでも行けるといった意識付けが重要。高速バスの「想起率」を更に高め、「安く」て「便利な」高速バスの魅力を認識させ、更に定着させることが必要。
○現在の外国人労働者に対するネガティブなイメージを国民全体の意識改革でポジティブなイメージにすることが必要。外国人労働者に対するネガティブなイメージを払拭することで、旅行業界、輸送業界の人不足問題が解消し、観光産業全体のプレゼンス向上に繋がる。
○プロフェッショナルの育成と新規事業者を支援する仕組みが必要。観光MBAの学科を絶対に作るべき。多くの有為な人材の輩出を期待したい。競争を生まないと産業が活性化していかず、このままでは下火。
○旅行・観光の伸びや活性化が人・社会を豊かにするということを示す統計指標およびその目標化が必要。目標を示すことで事業する側も展開しやすくなる。また旅行・観光に携わり、働いている人が誇りを持ち、その所得水準も向上することにより、優秀な人材の流入はもとより地方に職と人が増えることが理想。
○現在のわが国の公共交通は地元の人には定着している反面、国内他都市在住者や訪日外国人に対しての情報提供は不足気味。
○日本は個人旅行がしにくい。公共交通自体は充実しているが、二地点間輸送を想定しており周遊する輸送機関相互の接続情報と仕組みが不足。その結果パッケージツアーやレンタカー利用が多くなる。スイスでは国・地方政府と各交通事業者の協力によって、鉄道やバスの連携がなされている。ニーズの高いルートで接続性を持たせ、公共交通と旅行の主要3要素(食、観光、買物)を相乗効果が出るように磨いていくことが大事。

【山内 弘隆(一橋大学大学院商学研究科 教授)】
○どのような人材を育成すべきかについて関係者で意見交換をしながら、観光人材育成を進めることが必要である。
○教える側の人材確保は課題。MBAクラスの教育ができて、かつ観光の現場を知っている人はほとんどいない。
○DMOの人材育成には、MBAのような修士号が必要。ただし、DMOではもっと教える人材がいないと思慮。
○新しく学科を立ち上げることは簡単ではない。
○教育では、理論と実践を併せ持った教育を施すことが必要。

【渡邊 准(株式会社地域経済活性化支援機構 常務取締役)】
○顧客ニーズをより理解できる人を活用する必要がある。
○観光業に多い零細企業は顧客ニーズをリアルタイムで得る術がないので、国に観光データの整備をお願いしたい。
○旅館の泊食分離は生産性向上の他、地域内回遊効果もある。
○成功している事業者の下に、零細事業者を集約するのも一つの手。
○地域の大学と観光従事者、行政が一体となって人材育成に取り組む仕組みを広げていかないといけない。

2016-02-12 レポート:第6回「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」ワーキンググループ・ヒアリング&意見交換(第2回)

観光庁観光戦略課の主催する「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は、訪日外国人旅行者数2000万人の目標達成が視野に入ってきたことを踏まえ、次の時代の新たな目標を定めるとともに、必要な対応の検討を行うための政策会議だ。内閣官房長官を座長(座長代理は国土交通大臣)とするワーキンググループは、その明日の日本を支える観光ビジョン構想検討の高度化のため、ヒアリングや意見交換等を行う。
平成27年12月1日に第1回が開催されて以来、6回にわたっておこなわれてきた。直近の第6回は平成28年1月26日)に開催され、各界の有識者が一堂に会し、ヘアリングと意見交換がおこなわれた。将来の日本の観光戦略に関しての示唆に富んだ建設的な意見が多く、どれも、大変、参考になる、一読に値するものばかりだ。
以下に第6回「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」ワーキンググループでの事務局ヒアリングにおける有識者の主な指摘ポイントを抜粋したものの第2回をお届けする。ご参照ください。

【北川 フラム(公益財団法人福武財団 常任理事、株式会社アートフロントギャラリー 会長)】
○重要な要素としては、①地域の宝を発見する、②他人の土地で地域を開いていく、③地域の人が関わる、といったこと。
○文化活動の持続は、土地に残ったものに敬意を持ち、価値を見出すことが重要。
○フランスでは、キュレーターが来て、集落単位でやりたいことを出していく。そのため、力ある人が自立的にいっぱいやってくる。サラリーマン仕事では上手くいかない。
○住んでいる人たちが誇りを持ち、外からくるお客さんが日常からリセットされ、手伝っている人の喜びであるような地域づくりをやらなくてはならない。
○企画書の書き方だけが上手なところが選ばれていることがある。信用できる人が責任を持って選ばなければならない。

【北原 茂樹(全国旅館ホテル生活衛生共同組合連合会 会長)】
【針谷 了(一般社団法人日本旅館協会 会長)】
○IT化と最新の経営理論を駆使したホテル・旅館経営をすることが重要。
○ホテル・旅館の空室情報が市場に十分に伝わっていない。

【北村 東始扶(JAPAN AVIATION SERVICE株式会社 代表取締役社長)】
○インバウンドの「量」の新たな目標設定は大変重要であり、根本となる。
○ビジネスジェットはインバウンドの「質」の向上に向けたツールとして認識している。
○大規模国際会議の開催に際してのビジネスジェットの乗り入れのボリュームは非常に大きい。
○首都圏にビジネスジェット専用空港が必要。
○ビジネスジェットのほとんどはビジネス目的であり、顧客ニーズは首都圏に集中している。
○ビジネスジェットの拡大はグローバルビジネスの活性化に寄与すると同時に、観光インバウンドの振興にもつながる。

【近藤 幸二(一般社団法人全国旅行業協会 副会長)※他副会長2名】
○受入余地をはるかに超えた訪日外国人観光客の来訪の中で、ホテル・旅館の新築はなく、貸切バスも不足。日本人及び外国人の旅行者へのサービス、安全の確保の面で十分に対応できているのか。
○旅行業界は、インバウンドの急激な増加の影響を受けて、都市部ホテルの予約、日本人国内旅行団体客の予約がとれないなど、国内旅行に影響が生じている。
○ゴールデンルートや大都市など、買い物がメインになるようなところは恩恵を受けているが、その他の地域はあまり恩恵を受けていないのではないか。
○温泉旅館では、日本人客は1部屋に4~5名収容するが、外国人客は1部屋2名程度なので、満室になっても定員に達せず、稼働率の面で厳しいのではないか。
○都心から比較的近い川口や八王子など、東京都心に近いホテルの電車や都心へのアクセスと宿泊をパックにしたPRの方法など、都心からの客を周辺で受入れられる方法を考えるべきではないか。

【坂村 健(東京大学大学院情報学環教授)】
○今後は観光分野でもIoTが重要。総務省では2020年に向けて交通系ICカードやスマートフォンと共通クラウド基盤で連携し、訪日外国人の母国語等の属性に応じた情報提供等のサービスを連携させる取組を行っており、多様な関係業者(ホテル、ドラッグストア、交通事業者、コンビニエンスストア等)が参画している。観光庁も積極的に関わっていただきたい。関係業者、省庁が連携して実現に取り組むべき。
○アンケート調査以外の方法でどのようにデータを取れるのかという手法の研究などを行っていただきたい。
○国はIT等を活用した観光の基礎データや、観光ビッグデータを整備すべき。
○国は観光統計等のデータをオープンデータ化すべき。
○データの整備、活用は、国で統一的なシステムを作り、それを地方に渡せば、それをベースに全国で標準化された基準に則って整備することが可能である。
○Wi-Fiの整備に関しても、すべてを一省庁だけが担うことには限界があるため、各省庁で役割分担し、どのようなエリアにどの程度必要かなどの観光庁に知見がある点は、総務省と連携して、観光庁が主導すべきである。

【白石 徳生(株式会社ベネフィット・ワン 代表取締役社長)】
○日本の祭はエンターテイメント性が高い。特に、中国人には日本の伝統的な祭の受けがいい。
○温泉は外国人に人気がある。台湾の方は日本人が知らないような温泉地にも行く。台湾の女性ブロガーを公認して、誘致に成功している例もある。
○地方では、思い切ってモデルケース地域を設定し活性化させていくと、自然と民間ファンドもついてくる。
○有給休暇の取得は、休暇分散と一緒に進められるとより効果的。
○閑散期にはイベントの開催が誘客に効果的。理想は年間を通して何かしらのイベントがあるようにする。
○日本のレンタカーは海外から予約できない事業者がほとんど。
○箱根や湯布院等に所在する企業の保養所を自治体が借り上げて宿泊施設として活用しているケースはある。
○通信に関しては、SIMカードのサービスを進めた方がいい。

【ステファン・シャウエッカー(ジャパンガイド株式会社 代表取締役)】
○外国人目線でのブランディングも必要。
○欧米人は黒澤映画の雰囲気の日本を体験したいと思っている。
○歴史ある観光地で電線や看板、廃屋などをなくすことが必要。草津町では、毎年1つずつ取り組み、10年間ですっかり街並みが綺麗になった。
○箱根フリーパスのように利用しやすい交通系パスの開発・普及が重要。
○インバウンドを増やすには、観光・留学・就労で海外に行く日本人(アウトバウンド)を増やすことも必要。その人たちが日本の魅力を発信するアンバサダーになり得る可能性があり、外から日本を見る視点も育てられる。

【高橋進(株式会社日本総合研究所理事長)】
○投資の拡大については、地域経営の中に位置付けていくべき。
○観光産業の向上のためにも、ピークをならしていくことが大切。
○現役について、親と子が一緒の日に休めることが大切。
○観光関連産業の従業員の処遇改善が重要。
○京都はインバウンドが増えて国内客が減るといったことが起きた。国内を含めた観光全体という視点が重要。
○MICEに必要なお金をどう地域で分担するか、都市としてどうMICEを抱えていくかを考えることが必要。


【玉井常貴(農業法人株式会社秋津野代表取締役社長)】
○地域づくりを昭和30年代からやっているが、都市住民との交流や地域の農産物を味わったり買っていただいたりする取組が、都市と農村の相互理解、地域経済の向上や雇用の増加につながっている。
○農村部は交流人口を増やさないと地域の存続が難しい。農村の暮らしのある美しい風景により、交流人口を惹きつけていくことが重要。
○交流事業を推進する上で拠点が必要。秋津野の場合は、地域住民等が共同で出資して廃校舎を買い取り活用している。
○地域づくりは行政に頼るだけではなく、地域のマスタープランを作成のうえ、地域住民自らが動いていくことが重要である。
○「食」の提供にあたり、アレルギーや宗教的な面については突然対応を求められても難しいが、やり方次第で知恵は出てくる。
○農村地域を維持するためには、若い人材の力も借りて、地域住民が主体となって持続可能な地域づくりをしていく必要がある。

【新浪剛史(サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長)】
○インバウンドのリピートと宿泊数を増やし、満足して旅行していただくことをサスティナブルにすることが重要。そのためには顧客ニーズをより理解できる人を活用する必要がある。
○各地方空港からの周遊ルートを構築すれば、地方の宿泊は伸びる。
○インバウンドが旅行の閑散期を埋めてくれるものになっていく。
○次のフェーズでは、Wi-Fiやスマートフォンが普及している中で、外国人旅行者にもう1泊してもらえるような、情報発信の仕組み作りが重要。
○IRの実現には是非取り組んでいってほしい。
○中間層の旅館では、バックオフィスの作業は合理化の余地が大きいはず。ICTでマニュアル化し、それを共有すれば非常によい。
○旅館の硬直性と言われる部分は、事前にインターネットで確認し、お客様がいらないものは思い切って切り捨てながら、自社の魅力も提示できる体制を整えることが重要。一方、個客に対応させる部分は省力化しづらいものの、大切なホスピタリティにつながる部分だ。実はここが追加的な収益源になっていく。
○生産性の向上により、非営業的な部分のコストが下がり、お客様サービスの時間を増やせる。モデルを横展開すると個別の取組より安い。
○通訳アプリケーションの開発に国が支援すべき。旅館や商店街で活用可能。

【ハリス・マイケル・ジョン(株式会社キャニオンズ 代表取締役社長)】
○国立公園のハイキングコースの整備や情報提供に地方毎のばらつきがあり、解消が必要。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの国立公園は、すべての看板などが統一された形で存在していて観光客にやさしい。
○欧米人を中心に、バリエーションの少なさに飽きてしまう人が多い。日本のアクティビティをアピールすることにより、宿泊を伸ばすことができる。
○アクティビティの会社には規制がないので、クオリティや安全レベルのばらつきが大きい。クオリティの基準があれば外国人もわかりやすい。
○最大の問題は地方に商品開発力がないこと。海外のマーケットを理解していない。DMOについても専門の知識を持っている人が必要。
○地域の競争力強化にはマーケティングのプロを投入する必要。地方でリーダーになれる人はいるので、マーケティングのノウハウ等を学ぶプログラムがあれば情報発信もできる。
○NZではDMOが全事業者から売り上げの0.5%を税金として徴収して運営している。
○日本人が海外に行くことで、日本の良さを海外に伝えるアンバサダーの役割も果たしている。
○交通手段について、情報発信が足りない。外国人にとっての空港アクセスはバスかタクシー。空港から人気の観光地への直行バス路線はぜひほしい。
○外国人は事前決済ができないと予約が入っていないのではないかと不安になる。

【福武 總一郎(株式会社ベネッセホールディングス 最高顧問)】
○30年近い瀬戸内海の直島及び周辺の活動を通して以下の事を実感した。
○今後のキーワードは、「魅力ある個性を持った地域の集合体としての日本」(United Region of Japan)ではないか。それをもっと競わせ支援する仕組みが必要だ。
○人はいいコミュニティに住む事によって幸せになる。そしていいコミュニティとは、「人生の達人であるお年寄りが笑顔で居られる地域」だと考える。「観光」とは、そういった地域での生き生きした暮らしぶりを見て「よく生きる」とは何かを考える場所や空間に行く事だ。
○よそ者が、少なくとも10年はその地域に入り込んで、コミュニティを作り上げていく必要がある。
○情報発信をする際は、世界的な建築家やアーティストと連携すると効果的。
○企業が、文化や地域振興を明確な目的とする財団を創設し、その財団が当該企業の主要株主になり、そこで得られた配当金を原資として、社会に貢献できる仕組みを金融資本主義に代わる日本発の公益資本主義として普及させ、積極的に評価すべきだ。

2016-02-10 レポート:第6回「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」ワーキンググループ・ヒアリング&意見交換(第1回)

観光庁観光戦略課の主催する「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は、訪日外国人旅行者数2000万人の目標達成が視野に入ってきたことを踏まえ、次の時代の新たな目標を定めるとともに、必要な対応の検討を行うための政策会議だ。
内閣官房長官を座長(座長代理は国土交通大臣)とするワーキンググループは、その明日の日本を支える観光ビジョン構想検討の高度化のため、ヒアリングや意見交換等を行う。
平成27年12月1日に第1回が開催されて以来、6回にわたっておこなわれてきた。直近の第6回は平成28年1月26日)に開催され、各界の有識者が一堂に会し、ヘアリングと意見交換がおこなわれた。
以下に第6回「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」ワーキンググループでの事務局ヒアリングにおける有識者の主な指摘ポイントを抜粋したものを3回にわたって掲載する。
将来の日本の観光戦略に関しての示唆に富んだ建設的な意見が多く、どれも、大変、参考になるものばかりだ。ご一読ください。

【青柳 正規(文化庁長官)】
○団体客が押し寄せてきている状況が落ち着いたときにリピートして来てもらえるよう、文化を初め、観光基盤ソフトを充実・定着させることが必要。
○英国のように民間寄付を促進するなどの草の根活動が必要。
○観光文化振興に熱意のある自治体は必死に取り組んでおり、そのような地域同士のネットワーク化が必要。
○日本の文化を海外に宣伝・発信できる人が少ない。
○国際的な視野の持ち主が、地域の文化や観光資源などを総合的にマネージメントすることが重要。コンセプト、妥協しない実行力、地元生活者をその気にさせる気概の持ち主が求められる。

【石積 忠夫(一般社団法人日本展示会協会 会長)】
○展示会へ外国人をどう呼び込み、どう観光に繋げていくのかが重要。
○ビジネス客の外国人に観光情報を発信し、観光に繋げることが大切。
○ビジネス客も観光客であり、経済の活性化によりビジネス客の増大もお願いしたい。
○国際的な展示会は他の国際会議等よりも圧倒的多数の集客が見込める。
○海外では国の大統領や首相が展示会に参加し、PRする姿がよくあるが、日本ではほとんどない。もっと閣僚にも展示会に来ていただきたい。
○展示会は1度立ち上げると、毎年の年中行事になるので安定したイベントとなる。
○是非、展示会も含めたMICE政策を政府として打ち出してほしい。

【大西 啓介(株式会社ナビタイムジャパン 代表取締役社長 兼 CEO)】
○インバウンド向けの交通フリーパスの中にはインバウンドにとって不便なものがあると理解している。提供している事業者のエリアによって割引額や購入条件が異なり、例えばNEXCOの場合、フリーパスが有効なエリアから出てしまうと同じNEXCO管内なのに追加で代金が発生するケースもあるようだ。
○地方空港の活性化を促すAir free pass(Japan Rail Passの空路版)の設定を提案したい。インバウンドの「足」が充実しなければ遠隔にある観光地への誘客は難しいし、地方へのリピーター客にはなりにくい。
○都道府県や交通事業者の垣根を越えた連携が必要。直行バスが運行されておらず、インバウンドにとって不便な状態となっているところがある。
○自治体によってはチャーター便などで誘客を図っている所もあるが、この方法での地方送客はあくまで一時しのぎであって、インバウンドにとって手軽な価格帯で航空交通網が利用できる必要がある。

【岡田 裕介(東映株式会社 代表取締役グループ会長)】
○素材と映像が結びつくことで宣伝効果が出る。映像なくして戦略は難しい。
○インターネット配信だけでは不十分。映像の情報伝達力は強力であり、海外の放送局(キー局)の放送枠を買取り現地の方の支持を得られそうな番組を放送すべき。
○観光立国という点では、クールジャパン施策との連携が必要。
○地上波放送への依存が強い国に対しては、日本の番組で現地の方の支持を得られそうな番組を、放送局で時間を決めて流すべき。
○インバウンド施策で外国人観光客を誘致するにあたっては、どのようにして認知させるかという広報的な戦略がより一層必要。
○状況が国ごとに異なっているので、国によって戦略の手段を変えていくべき。さらに、これは民間事業者だけでできる話ではないので、関係各者が共同して進めていく必要がある。

【葛西 憲之(青森県弘前市長)】
○地域間連携により、各市町村にないものはお互いに連携して手に入れていきたい。
○構想はあっても施策のプレイヤーがいない。人材育成と組織自体の育成が必要で、その点ではDMOには非常に興味がある。DMOを立ち上げる際の出資や人材確保の支援は必要なのではないか。
○地域の大学、観光従事者、行政が一体となって人材育成に取り組むべき。
〇市役所の部長級職員に民間の旅行エージェントを活用したが、彼のような観光経営のノウハウを持った人材を置くことが必要。
○無料Wi-Fiについても公共施設は導入が進んでいるが、民間の施設ではまだまだ進んでいないので、支援が必要。
○観光に当たりバス利用のハードルが高い。フリーパスがあると便利。

【加藤 種男(公益社団法人企業メセナ協議会 専務理事)】
○和もの輸出が下手。輸出の前に日本に来たら見られる環境を作る必要がある。
○国際的な視野の持ち主がアートマネジメントすることが重要。
○高齢者が出資してファンドを作り、若者を支援する構想に取り組もうとしている。
○問題は、動きが起こっている地域が孤立していること。お金集めや広報の手法などが分からない。ネットワークさえ確立したら、ノウハウをお互い交換しあって、地域がいきいきしだす。
○文化のようなソフトには、ハードの金額の1割くらいで足りるのに、お金がつきにくい。
○田舎に行きたい人や、仕方ないから都会にいるだけという人は多くいる。地域再生の成功事例として有名な徳島県神山町のように、最初のインセンティブをうまく作れば人は集まる。

【加藤 友康(カトープレジャーグループ 代表取締役CEO)】
○情報提供の面では、自治体などからイベントなどの細かいところまでの情報発信が必要。2~3か月先だけでなく1年を通じてそうした情報があると良い。
○日本には地方でも世界の富裕層に通用するトップレストランがあるので、こうした情報を展開して欲しい。日本のホテル・旅館には富裕層にきめ細やかに対応できる施設は少ない。
○休日の分散化。労働力でもゆとりがでてきて、価格的にも利用者にも安く提供でき、施設側、利用者側お互いが潤う。
○沖縄ではターミナルから出てくるのに時間がかかる。レンタカーを利用しようとするとさらに時間がかかり、空港に到着してからホテルに向かうまで2時間近くかかったケースもある。
○地方リゾートでも人手不足が慢性化している。高齢者、外国人の雇用の促進も考えていくべき。ホスピタリティのレベル向上のため教育体制も重要。ライフワークバランスということで主婦層の取り込みも重要。
○インフォメーションの充実とインフラ整備。特に多言語表示、Wi-Fi環境の整備は重要。

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