IRビジネス研究会

アップデートニュース&トピック

2016-01-19 台風の目、橋下徹氏の今後

前大阪市長、橋下 徹氏は、今月15日、大阪市内で行った企業経営者向けの講演を皮切りに、全国での講演活動をスタートした。2月からは、インターネットの有料サイトで市民と幅広いテーマで直接対話する「橋下政治経済ゼミ」を開講する予定で、4月以降は、テレビ出演も再開するという。
今も140万人以上のフォロワー(閲覧者)がいるツイッターでは、政治に関する書き込みを続けており、市議会で15日に3議案が成立した際には、「吉村市政、公約通り対話で大阪を前へ。僕がいなくなってイイ感じ(笑)」と吉村市長を持ち上げた。
任期満了を迎え、12月18日をもって大阪市長の職を辞した橋下徹氏。大阪府知事を3年9カ月、大阪市長を4年務め、地域政党「大阪維新の会」を率いた橋下も、「大阪維新の会」の法律政策顧問に就き、政治家を引退するという。しかし、退任後には、安倍総理や菅官房長官と長い時間をかけて会談し、「大阪維新の会」でも最高顧問を務め、ツイッターでも政治向きな発言を続けている。本当に政治家を引退するとは、誰も思ってはいないようだ。
そんな橋下氏は、爆笑問題などが所属する芸能事務所に復帰。今後は、弁護士活動と共に芸能界活動も再開する。番組の復帰はおそらく過去にレギュラーとして出演していた「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)からではないかと予想される。これ以外にも、各局とも橋下獲得に向け、しのぎを削っているらしい。現在は単発のテレビ出演依頼は断っているという。
このあたりも、国政参加に向けての戦略の一つだと言う。高い人気を保ったまま、「大阪維新の会」の力を維持して、来るべき選挙に備えるのが、橋下氏の戦略ではないだろうかというのが、大筋の予想だ。また、大阪はもとより、全国レベルで、彼の政界復帰を期待する声が多いのも事実だ。

2016-01-17 阪神淡路大震災から21年

早いもので、戦後最大の都市型大災害である阪神淡路大震災から、今日で21年になり、神戸市など被災した地域では、犠牲者を追悼する行事が行われ、地震が起きた午前5時46分に黙とうをささげた。
ついこの間のような気がする。想像を絶する大地震、火災、逃げ惑う人々。死者6434人、負傷者43,792名という凄まじさだった。
あの衝撃、あの恐ろしさ、あの悲しさは今も忘れがたい。TVに映る神戸の街の光景はまるで地獄絵のようだった。
亡くなった方々、ご遺族、大震災によって被害を被ったすべての方々に、改めて想いを馳せる。この21年間の辛苦はいかばかりか、本当に大変だったことだろう。
そのことを我々は決して忘れてはしないし、絶対に風化させてはならないと誓う。
愛する人々を守るためにも防災対策をさらに強化して行かなければならないし、常に防災の備えを怠らないようにしなければならない。

2016-01-16 株価の上下にオタオタすることなく、今こそ「100年の大計」を!

今こそ「100年の大計」を建てることが大切だ。このフレーズを幼いころからもう何十年にも亘って聴いてきたような気がするのは果たして私だけだろうか。
ここ数日のうちに、非常に興味深い記事を3つほど目にした。どれもなるほどと頷き、深刻に考えさせられる内容だ。
そのうち2つは日経新聞のウェブサイトで読んだ、アベノミクスに関する2人のオーソリティのインタビュー記事で、すごく勉強になった。アベノミクスを分析、評価、そして課題を示したのは、世界で最も影響力のある経済ジャーナリストの1人で、2000年に大英帝国勲章を受けた、英フィナンシャルタイムズのチーフ・エコノミクス・コメンテイター、マーティン・ウルフ氏と、元米財務長官でオバマ大統領の首席経済顧問やハーバード大学学長を歴任したローレンス・サマーズ氏だ。
■重要なのは供給でなく需要
まず、ウルフ氏は、「アベノミクス」は、日本経済の再活性化を図る大胆な試みで、3本の「矢」を約束した。財政政策、金融政策、成長戦略だ。この3本の矢は、安倍氏が約束した再生をもたらすのか。残念ながら、それはありそうにないと否定的だ。金融緩和こそ日銀主導でかつてない規模でおこなわれたが、財政政策は無策に等しく、財政赤字はまったく減っていない。第3の矢、構造改革も農協改革やTPPの大筋合意こそあったものの、女性の機会拡大は遅々として進まず、労働市場も正規雇用と非正規雇用の格差が定着し、二極化したままになっている。移民の受け入れ拡大にいたってはおおむねタブーのままだと主張する。
結果は芳しくなく、生産活動に関しても結果は期待外れだ。安倍氏が首相に就任した12年末から15年第3四半期までの間に、日本経済は実質ベースで2.4%しか成長していない。実質GDPは08年第1四半期と同等の水準にすぎないと厳しく評価している。
その上で彼は日本経済を苦しめているものをアベノミクスが正しく特定しているかどうか疑問視している。日本の問題は供給ではないということに気づいていないのではないかと疑っている。真の問題は民間需要の弱さにあるのだ。その表れが民間部門の巨額の資金余剰、すなわち民間投資に対する民間貯蓄の超過だと指摘する。
その解決策は? 様々な選択肢があるが、そのどれも現実的ではない。
そして、もっとも現実的な選択肢は、民間部門の慢性的な貯蓄過剰に真正面から切り込むことだと主張する。そのためにはまず、日本が貯蓄をしすぎていることを認識しなければならない。したがって、消費増税はなすべきことの真逆になる。日本企業の過剰な内部留保を賃金と税に移していくことが、最終的に構造的な貯蓄過剰の解消につながる。たとえば、減価償却引当金を大幅に減らすという方法がある。コーポレートガバナンス(企業統治)改革も企業収益の分配の拡大につながりうる。さらにもう1つの可能性として賃上げがある。
要するに「供給でなく需要が重要だ」ということだと彼は説く。民間、特に企業部門の構造的な貯蓄過剰が政府を赤字財政に向かわせて債務が膨らんでいる。アベノミクスは、この根底にある現実を認識していない。日本は民間の余剰資金を輸出するか除去するか、いずれかの方法で余剰を相殺しなければならない。これこそが最大の課題だと強く主張する。
最後に、最初のステップは核心にある問題、すなわち民間需要の不足という問題を認識することだ。そうして初めて、解決が可能になると締めくくった。
供給サイドの政策ではなく、需要を喚起する政策が必要とされるという意見は大いに納得できる。国が、国がという、トップダウンではなく、ボトムアップが大切なのだ。
■超高齢化国の活路は「開放」にある
次にサマーズ氏だが、彼が日本について、「近代における長期停滞の最初のケースと指摘する一方で、そこから抜け出す道筋を描く実験室」とも評していることはとても興味深い。
まず彼は、アベノミクスに対して、「日本の状況が改善したことに疑問の余地はない。だが、着実で適切、かつインフレをもたらす成長がしっかり根づいたと確信する根拠はない」と分析する。
これまでのところ日銀の金融政策は「概して適切」であり、異次元緩和を継続しない理由はない」とサマーズ氏は言う。
しかし財政政策については、「少し矛盾している」と歯切れが悪い。「第3の矢」は、税制改革、農業・電力市場の自由化、コーポレートガバナンス(企業統治)の改善を通じて既得権に切り込む構造改革で、それぞれの改革自体は有益だが、積極性を欠くと彼は指摘する。
その上で、サマーズ氏が懸念するのは、日本の人口動態だ。設備投資や住宅投資が停滞するだけでなく、日本経済全体のダイナミズムを減退させる「重要な」要因だという。「日本が家電産業や自動車産業で競争力を失った経緯は、人口高齢化と全く無縁ではなかったと私は見ている」と彼は述べたうえで、「高齢化が進むほど、開放的になる道筋を見つけることが重要になるように思う」と付け加えた。
移民が解決策だと彼は語る。外国人労働者が日本経済にダイナミズムをもたらすということについては、ほとんど疑問の余地を残さないと述べ、「孤立した日本は一段と後れを取ってしまうのではないか」と危惧する。
2025年の日本をどう見るのかという質問に対し、サマーズ氏は可能性の高いシナリオを2つ挙げた。
1つ目は相対的に楽観的なもので、日本の国内総生産(GDP)は年間1%前後で成長する。そして日本は素晴らしく熟練度が高く、規律のとれた労働力を活用し、重要な輸出大国であり続けるというもの。
もう一つのシナリオは、世界経済の出遅れ組から脱することができず、経済的、政治的なプレーヤーとしての日本の影響力が減退していく悲観的なものだ。このシナリオでは、中国と日本でナショナリズムが強硬になる中、北アジアの地政学が安定性を失っていくと語る。
「次の10年間は日本にとって特に重要になる」とサマーズ氏は言う。「ウィンストン・チャーチルの言葉を借りるなら、我々は皆、アベノミクスが21世紀の日本再生の終わりの始まりですらなく、始まりの終わりであることを願っている」と締めくくっている。
■100年の大計
3つ目の記事は16日の朝日新聞朝刊の社説だ。
まず何より、年初来の株価の下落に動揺して政府や日本銀行が目先の株価対策に走らないよう警告している。そして、これまでの株価は超金融緩和によってもたらされたものであり、経済成長はゼロに近いわずかな伸びで実体経済とは乖離している。従って、経済政策は株安に振り回されることなく、長期的な備えを促す警鐘として受け止めるべきだと主張する。
その上で、安倍政権の経済政策は短期的な成長や評価を重視しすぎて、長期的視野に欠けるうえ、異次元金融緩和も永久的に続けられるわけでもなく限界が近づいており、多くの問題が将来世代へ先送りされることを強く懸念すると警告する。
「アベノミクスは成功している」と安倍首相は主張するが、ならば、なぜ、企業は史上最高益をあげても賃上げには及び腰で、内部留保をため込むのか、国民が消費にしり込みするのはどうしてなのか。
小林慶一郎慶大教授は「“短期楽観”を強調する政府の姿勢そのものが厳しい現実を見ていないことを露呈し、かえって企業や消費者を“長期悲観”に陥らせている」と分析する。そして、いつかは負担をこの国の誰かが支払わなければならないということを国民は肌で感じ取っているのだと指摘する。
超金融緩和がもたらしたカネ余りの時代は終わりが近づいており、「名目3%、実質2%成長」と超楽観的な政府の経済見通しと、それに基づく中期財政計画は、早晩行き詰まる。借金財政にもかかわらず、選挙対策のばらまき政策などやめて、現実的見通しに基づいた財政再建を進めて行くことこそ最大かつ最重要課題だと結論付けている。
この3つの記事に共通するのは財政再建の重要性ならびに必要性、そして何よりも緊急性だ。そして、将来の世代のためにも、財政を健全にし、民間需要を喚起しなければならないと強く感じる。

2016-01-14 補正予算案衆院通過 与党、来週中の成立めざす

総額3兆3213億円の2015年度補正予算案は14日午後の衆院本会議で採決され、与党などの賛成多数で可決、参院へと送られた。参院予算委員会は13日の理事会で15日から審議入りすることを決めており、与党は来週中、20日までの成立をめざす。
補正予算案では安倍晋三首相が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けた緊急対策に1兆1646億円を計上。所得の低い高齢者への1人3万円の臨時給付金事業約3624億円などを盛り込んだ。また、子育て支援策として保育所の整備に511億円、介護施設の整備や人材育成に1366億円を充てる。環太平洋経済連携協定(TPP)関連の国内対策費は約3400億円で、畜産の競争力強化に向けた基金設立などを盛り込んだ。
消費増税時の軽減税率導入に中小事業者が円滑に対応できるよう、170億円を使って相談窓口を設置する。欧州に流入するシリア、イラクの難民対策としては385億円を計上した。
財源には今年度税収の上振れ分1兆8990億円や、14年度予算の使い残しの2兆2136億円などを充てている。

2016-01-12 アンヘル・グリアOECD事務総長の興味深い一言

読売新聞11日の朝刊一面に掲載されたOECD事務総長、アンヘル・グリアさんの話はとてもわかりやすく面白かった。
メキシコの外相や財務相を歴任し、スペイン語や英語、仏語など6か国語を自在にあやつるという才人が2016年以降の世界経済について語っているのだが、むずかしい単語や用語を使わず、とても明快にわかりやすく説明してくれている。
世界経済は非常にゆるやかではあっても拡大を続ける。
過去10年間、世界経済のエンジン役を担ってきた新興国は、大きな変化に直面している。
・ブラジルやロシアはリセッション(景気後退)に陥る
・中国、南アフリカ、トルコ、メキシコなどは減速
・好調を維持するインドは稀なケース
多くの国の中央銀行が金融緩和を続ける一方、原油価格が大きく下落、追い風が吹いていてもボートは前には進まない。それは消費者が明日の暮らしに不安を感じていて、消費を控えているせいだ。世界各国でおきているテロも消費者に心理的悪影響を与えている。
しかしテロをきっかけに世界が危機感を共有し始め、西側諸国はロシアとの協議を再開した。
欧州に押し寄せている難民や移民も長い目で見れば成長要因になる。欧州各国も高齢化が進んでいる。難民・移民を受け入れることは生産性の向上につながる。コストは大きいし、リスクもあるが、いずれ報われる。
アベノミクスの「第1の矢」、日銀による金融緩和はうまく機能している。しかし中央銀行は万能ではない。政府が連携して努力しどれだけ効果をあげられるかがカギとなる。
「第2の矢」である財政政策は、もはや限界にある。借金を減らし、財政健全化を成し遂げなければならない。
「第3の矢」は構造改革が中心だ。どんな改革も痛みを伴うものだが、改革を続けなければならない。
日本の課題は出生率の向上だ。人々が「明日はきっと今日より良くなる」と感じられるようになれば、出生率は上がる。自信を与える政策と、女性が働きやすい環境の整備が必要だ。
経済協力開発機構(OECD)加盟国中、日本がもっとも高齢化が進んでいる。年金改革は欠かせず、与野党間の合意が要るし、賃金も上げて行かなければならない。
環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意は日本経済成長の重要な機会となる。日本は、すべての参加国への投資がしやすくなる。
というもので、わかりやすくとても説得力がある。
しかし、個人的には最後のコメントが一番心に残った。
日本が好きで毎年のように訪れる。これまでに恐らく65回ほど訪問した。桜の季節は本当に魅了される。海外から人がやってくることも、日本にとってチャンスとなる。
とても胸に響く言葉だ。日本は誰からも愛される素晴らしい国なのだ。それなのに、その良い面が行かされておらず、「観光立国」構想は一向に進めんでいない。
つくづく歯がゆく感じる。
IR研究会

2016-01-11 参院比例選の投票先は・・・? 読売新聞世論調査

読売新聞社は8~10日にかけて全国を対象に世論調査を実施し、その結果を11日付の朝刊で発表している。
それによれば、安倍内閣の支持率は54%で前回(2015年12月17~18日)の49%から上昇。慰安婦問題への対応等によって好感を得たようだ。不支持率は36%(前回は39%)。
政府が低所得の高齢者らに支給する予定の3万円の臨時給付金については「反対」が50%と、「賛成」の42%を上回ったとのこと。
今夏の参院選での比例選の投票先について聞いたところ、自民党が37%でトップだった。以下、民主党13%、公明党、共産党各6%、おおさか維新の会5%などの順だった。自民の「1強」は変わっていない。
興味深いのは、近畿では、おおさか維新が17%で、自民の39%に次いで多かったことだ。台風の目となる可能性がある。
参院選の結果、与党が、参院で過半数の議席を「維持する方がよい」との回答は48%と半数弱で、「そうは思わない」が40%あったとしている。
選挙区選で、民主など野党が候補者をできるだけ「統一する方がよい」と思う人は49%で、「統一する必要はない」33%を上回った。民主、共産の各支持層では「統一」が7割を占めた。
衆参同日選(ダブル選)については、「行ってもよい」43%、「行わない方がよい」41%と拮抗したと報告している。
いずれも興味深い結果だ。

2016-01-10 国政レポート(1月10日)

■衆院予算委員会始まる 経済を巡り応酬 若者の票も意識

衆院予算委員会は8日午前、安倍首相と全閣僚が出席して、2015年度補正予算案に関する基本的質疑が行われ、本格的な論戦が始まった。夏の参院選を控え、「経済成長」にこだわる自民党に対し、民主党は「より幅の広い低所得者対策」を主張した。
安倍首相は、自らが掲げる「1億総活躍社会」について、「TPP(環太平洋経済連携協定)の経済拡大効果や政策を総動員して実現していく。成長の果実を分配に回し、安定した社会基盤でさらに成長する好循環の社会経済を実現する」と語った。
これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は「アベノミクスは失敗だった」と印象づける作戦に出た。「安倍内閣は確かに株価など目に付きやすい派手な数字は上げたが、実際はどうか。都合の良い数字だけを並べる言葉にまどわされるのはやめませんか」 枝野氏は統計データを次々と挙げて「実質賃金が大幅に下がり、非正規雇用しか増えていない」と指摘。アベノミクスは大企業や高所得者への優遇策と断じ、「庶民の暮らしは良くなっていない」との訴えだ。
しかし、安倍晋三首相も、「民主党政権時より2割も倒産件数を減らした」「民主時代の高知県の有効求人倍率は0.64。それが1になった」などと民主政権時代との比較データを列挙して反論した。「雇用状況が良くなったことは、さすがの枝野さんも認めるでしょう」と切り返し、「経済に弱い民主」とのイメージを強調した。
夏の参院選から18、19歳も選挙権を得るため、若者を意識した応酬もあった。
民主の山井和則氏は1人当たり3千円の「子育て給付金」の廃止などを批判。対する首相は「民主政権時代の3年間で正社員は59万人減ったが、私たちはプラスに変えた」と反論した。
批判合戦は次第に過熱し、民主の階猛氏が「国会から出席を求められるのは説明のためであって、我々に対して批判するためではない」と指摘すると、安倍首相は、「(政府が)反論したり批判したりすることは絶対にダメだというのはおかしいのではないか」と反発した。
夏の参院選をにらんだ激しい攻防の背景には、経済政策をめぐる基本的な「哲学」の違いがある。
与党が合意した消費税の軽減税率について、枝野氏は財務省試算を引用し、年収200万円未満の世帯が受ける恩恵は年約8千円に対し、年収1500万円超の世帯では年約1万7千円と指摘。「どこが低所得者対策なのか」と批判した。
民主の経済政策の柱は「格差是正」。所得が少ないほど負担感が増す消費増税の「逆進性」対策として、低所得者限定の「給付付き税額控除」の導入を主張。軽減税率は受け入れられないと考えている。
安倍首相は、軽減税率について「(軽減される)絶対額ではなく、収入に占める割合ではかるべきだ」と語り、一定の低所得者対策になると主張。「痛税感の緩和に効果がある」とも繰り返した。消費増税による景気の落ち込みを防ぐ効果があり、「経済成長」にも貢献するという理屈だ。高齢者に配布する3万円の臨時給付金も同様で、首相は「高齢者は消費傾向が高く、今年前半の景気の下支えになる」と景気への効果を期待する。
初日の論戦は、与党側のほうに説得力があったように思える。
論戦は三連休明けに再開される。

■民主の党名変更、岡田代表、柔軟姿勢変更示唆

民主党の岡田克也代表は8日の記者会見で、維新の党と新党を結成する可能性に言及した。これまでは慎重な発言を繰り返してきたが、「参院選までに合流するなら、3月末までに決断しないと間に合わない」と語り、春までに決断する可能性を示した。両党は衆院で統一会派を組んで連携が進んでおり、条件が整えば合流に踏み込む構えだ。
その上で、岡田代表は、維新の党とともに新党を結成する場合、党名を変更する可能性に言及した。党名変更に慎重な立場から、柔軟姿勢に転じた格好だ。
岡田氏は、新党結成の判断時期を3月に設定した理由を記者団から問われ、「党名が変われば周知徹底も必要で、地方組織も含め、政策や綱領、規約などの準備も必要になる」とし、新党結成の際の党名変更も排除しない考えを示した。夏の参院選までに新たな党名を浸透させるには、一定の時間が必要になるとの認識を示したものだ。新党の結成方法については「まだ何も決まっていない」とするにとどめた。
党名変更は、維新側が強く求めている。「民主党政権時代のマイナスイメージを払拭したい」(維新幹部)との思惑がある。岡田氏はこれまで「名前を変えれば国民が信頼してくれるということではない。看板の掛け替えでは駄目だ」などと述べていた。
両党は政府提案の今年度補正予算案の組み替え動議を提出する方針でも一致した。両党が「ばらまき」と批判する3万円の臨時給付金制度の廃止を求める考えで、岡田氏は会見で「給付金は選挙対策だ」と改めて批判した。

■民主党の嫌がらせ?  大阪維新の会反発、初日審議欠席
おおさか維新の会と改革結集の会は8日、衆院予算委員会の審議を欠席した。質問時間の割り当てを巡り、民主党に抗議の意思を表すためだとしている。
質問時間は通常、自民、民主両党の担当者が協議して与野党の配分を決め、その後、各党の配分が決まる。議席数に応じて割り当てられるのが慣例だ。今回は民主党が、衆院代表質問で「我々は与党でも野党でもない」と宣言したおおさか維新の会と改革結集の会を「与党か野党かわからない」としたため、与野党双方の持ち時間から両党に、それぞれ24分と9分割り当てられることになったもの。
両党はこれを不服とし、委員計3人が8日の審議を欠席した。おおさか維新の松井代表は8日、大阪市内で記者団に、「民主党の子供じみた嫌がらせだ」と述べ、野党として扱うよう求めた。

2016-01-08 オピニオン:真の政策論争を!

4日、第190回通常国会が開会、安倍首相が衆参両院で所信表明演説をおこなった。それに引き続き、6日から各党の代表質問がおこなわれた。そして今日から予算委員会が開かれ、本格的な論戦が始まる…ことを期待したい。
いつものことながら、各党の代表質問や委員会での質問、特に野党のそれを聴いていて、そのレベルの低さに哀しくなったり、むなしくなったりするのは私だけだろうか。
一言で表現するなら、「選挙での票欲しさのための粗さがし」とでも言うべきか。政治家にとって、選挙がすべて、最優先、最重要課題になっているせいだろう。論戦は、敵失を衝く、あるいは相手の評判を貶めるような、批判と非難の応酬、レベルの低い言いあいに終始する。やれ給付金は選挙目当てだの、軽減税率の財源はどうするだの、一部官僚の不正を追及することに終始して、根本的な議論は中々おこなわれない。マスコミが大きくスペースを割いてくれたり、面白おかしく採り上げてくれたりするようなスキャンダラスな話題ばかりを探す意識の低さにがっかりする。
民主党が政権の座にあった時に多くの国民の期待を裏切り、失望させたことにより、嫌気のさした有権者が民主党を見放し、棚ボタ式に自民党が政権に復帰、今や公明党と組んで大与党を形成し、余裕を持って、ほぼ思い通りに政権運営をおこなっているのが現状だ。自民党に危機感はあるだろうか? 安定的に長期政権を可能にできると思っている自民や公明の政治家は多いのではないだろうか。冷静的、客観的に観て、当面、民主党が政権に復帰するとは想像しにくい。
安倍晋三首相は民主党の岡田代表の「首相は国民への説明から逃げ回っている」との批判に対し、「ただ反対と声をそろえるだけなら簡単だ。しかし、それぞれの政党が現実を直視し、その解決のための政策提案から逃げ回っているようでは国民の負託に応えられない」と強く応じた。その通りだと思う。民主党や他の野党は反論できるだろうか。
我々は決して安倍首相と政府与党を支持するわけではない。当然ながら是々非々で判断する。しかし、最大野党である民主党はいったい何がしたいのか、何を成し遂げようとするのか、明確なメッセージが伝わってこない。自民党や公明党に対するアンチテーゼは何なのか、あったら、多くの国民にわかりやすく短い文章で伝えてほしい。
今、本当に必要なのはこれからの日本をどうするかだ。この国をどうするのかが問われているのだ。この我々の愛する、美しい日本の自然と環境を守りつつ、日本に住むすべての人々が将来にわたって幸せに暮らせるようにするには、何をどうすべきかを真摯に議論し合ってほしい。批判の応酬からは憎悪以外の何ものも生まれない。
「なるほどそれも一考の余地はあるな」と与党をうならせるような、建設的な対案というものが野党から出てきたことをかつて見た記憶がない。「GDP600兆円」や「一億総活躍」にも異論があるなら、それにかわって、どういうことを成すべきなのか、具体的な提案をしてほしい。
どうすればこの国を活性化できるか、環境を破壊することなく長く繁栄させることができるか、構想を練って、具体的な案を提示してほしい。
本格的な論戦を通じ、政府与党がたじろぐような提案がおこない、実現に向けて最大限の努力をする。それこそが国民から負託を受けた政治家の仕事ではないだろうか? 選挙のための大袈裟なパフォーマンスは見苦しい。
明確で説得力のあるアンチテーゼを示せるなら、野党大連合も理解されるだろう。そのような切磋琢磨を通じてしか、この国を正しく導く政治はなしえないと強く信じる。
そのためにも、我々はこれからも国会の論戦、個々の政治家の言動を注視し続ける。
IR研究会

2016-01-05 第190回通常国会開会 短期決戦の様相

第190通常国会が4日召集され開会した。1992年以降では最も早い召集となる。会期は6月1日までの150日間だが、5月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、7月の参院選を控えており、事実上、「5月の大型連休ごろまでの短期決戦」(自民国対幹部)となる見通しだ。安倍政権は国会論戦で、参院選をにらんで経済と外交を前面に押し出す。昨年の安保保証法制のような対決型法案はなるべく出さず、実績を訴え支持率維持を狙う。参院でも議席の3分の2以上を確保すれば、憲法改正の発議が可能となることも視野に入れる。
開会日の4日には衆参両院で安倍晋三首相が外交報告、慰安婦問題で昨年末に日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」で合意したことについて、「日韓関係が未来志向の新時代に入ると確認している」と強調。昨年11月の日中韓首脳会談については「協力の枠組みの完全回復などで合意し、非常に有意義だった」と述べた。一方、南シナ海での中国の海洋進出を念頭に「私が提唱した、武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならないという原則が、着実に国際社会に浸透しつつある」と自信を見せた。
引き続き、麻生太郎副総理兼財務相が4日に提出した総額3兆3213億円の15年度補正予算案について衆参両院本会議で財政演説を行い、「今こそ少子高齢化という構造的課題に取り組む」と説明した。
政府・与党は補正予算案を、1月中旬までに成立させ、下旬には16年度予算案を提出し、年度内の成立を目指す。
補正予算案については、低所得の高齢者らに1人3万円を配る臨時給付金が計上されていることから、民主党や維新の党が「選挙前の合法的な買収だ」と反発。バラマキ批判は自民党内にもくすぶっており、激しい論戦が予想される。
予算案の処理後、焦点の一つ、17年4月の消費再増税に合わせて導入する軽減税率を含む税制関連法案の審議に移る。野党側は1兆円の財源確保の先送りや適用範囲の「線引き」を巡り、厳しく追及する方針だ。違憲と指摘された昨年9月成立の安全保障関連法や閣僚の政治資金を巡る問題なども議論になりそうだ。
一方、政府・与党は、大筋合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の国会承認を目指す。ただ、米国では11月の大統領選を控えて議論が停滞する見通しであることを踏まえ、日本での議論が先走りすることのないよう、関連課題を集中審議する衆参の特別委員会設置は見送った。
安倍晋三首相は4日に首相官邸で行った年頭記者会見で「内政でも外交でも本年は挑戦、挑戦、そして挑戦あるのみ。未来へ果敢に挑戦する1年とする決意だ」と述べて政権運営に強気で臨む姿勢を見せた。首相は会見で、憲法改正について「参院選でしっかり訴えていく」と強調。参院選の勝敗ラインについては「自公で過半数を確保したい」と述べ、衆参同日選については「全く考えていない」と述べた。また、「2020年東京五輪・パラリンピックを成功させ、さらにその先を見据えながら新しい挑戦を始める年にしたい」と述べ、長期政権に意欲を示した。
外交にも強い意欲を見せた。5月に開催する主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や日中韓首脳会談の議長国を務めることや、国連安全保障理事会の非常任理事国となることなどを挙げ、「日本外交が世界を引っ張る1年になる」と強調。米欧の主要7カ国(G7)を「自由、民主主義、法の支配、人権といった普遍的価値のチャンピオン」と表現し、「G7議長として、世界の平和と繁栄に最も適切な道筋を示すことで世界をリードしたい」と意気込みを語った。
国会論戦は6、7両日に衆参両院で代表質問があり、8日にも衆院で予算委員会が開かれる予定だ。

2016-01-01 新年にあたって 希望の年、念願実現の年に

新しい年が明けた。新年にあたり、改めて、我々の愛してやまないこの美しい国が平和で人々が幸せに暮らせるよう願ってやまない。
そして、今年は、今年こそは、統合型リゾート(Integrated Resort=IR)を研究し、その可能性を強く信じ、実現を心から願ってやまない我々にとって、飛躍の年、画期的な年となるよう更なる努力を尽くしたいとの想いを新たにしている。
1月4日に始まる第190回通常国会において、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(IR推進法案)に対する徹底的な審議を経て可決成立することを願ってやまない。そのために国会議員の方々には真摯に、かつ前向きに取り組んでいただきたい。
日本にIR(統合型リゾート)を導入し、真の「観光立国」を目指そうと考え、そのための研究と行動が始まって、早や15年以上が経った。
超高齢化、少子化を避けて通ることのできない日本は、今後、10年後、20年後、30年後を視野に、日本の誇る製造業と並ぶ、新たな成長手段を必要としている。
そんな日本を救うためには、人口減少を補うほど多くの外国人観光客を受け入れる、つまり日本は『観光立国』の道を歩む以外にないと我々は固く信じている。日本は、観光立国の条件となる、「気候」「自然」「文化」「食事」の4大要素を備え持つ稀有な国だ。つまり、非常に有力な観光立国候補地であるということだ。日本の将来のために、世界に誇れる観光資源を外国人観光客の増加に結びつくよう活用すべきなのです。世界各国では、観光業はきわめて重要な産業で、熾烈な競争が行なわれています。従って、中途半端な戦略ではこの競争に勝つことはできません。日本は、もっと真剣に取り組むべきなのです。
ある分析によれば、日本が諸課題をクリアし、外国人客の望む観光地を実現することができれば、訪日外国人観光客の数は、2020年までに約5000万人。2030年までに約8000万人となり、GDP成長率を8%にまで押し上げることができるとしている。
その推進役、新しい成長エンジンとして重要な役割を担うであろうと期待されるのが、世界からVIP&知識人、企業&ビジネスマン、富裕層の観光客を呼び寄せ、消費を促し、日本を強力な観光立国へと導くであろう、IR(統合型リゾート)に他ならない。
2016年こそ決断と行動となるよう、願ってやまない。
2016年元旦
IR研究会

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