2016-01-21 2015年度補正予算成立 その効果については評価が分かれる
20日、「一億総活躍社会」の実現に向けた対策などを盛り込んだ今年度の補正予算は、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立した。
一般会計総額3兆3213億円となる今年度の補正予算案は、19日、参議院予算委員会で、自民・公明両党などの賛成多数で可決されたことを受け、20日午前に開かれた参議院本会議に上程された。
本会議では討論が行われ、自民党は「補正予算案は一億総活躍社会を推し進め、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)を活用し、日本が大きく飛躍するための第1歩だ。一日も早い成立が求められる」と述べた。
これに対し、民主党は「政策の緊要性や実効性を吟味せず、安易な歳出拡大に終始しており、断じて容認できない」と述べたほか、共産党も「暮らしや経済の実態は『好循環』とは程遠い。3万円の臨時給付金は税金を使った露骨な選挙対策だ」と反論した。
このあと採決が行われ、民主党、共産党、維新の党、おおさか維新の会、社民党、生活の党などの反対にもかかわらず、自民・公明両党に加え、日本のこころを大切にする党、新党改革などの賛成多数で可決・成立した。
安倍晋三首相は成立後、首相官邸で行われた政府・与党連絡会議で、「与党の尽力で早期成立できた。政府として迅速かつ着実に実行していく。来年度予算と合わせて、一日も早く国民に景気回復の実感を届ける」と述べた。
成立した補正予算には、「一億総活躍社会」の実現に向けて、所得の低い高齢者を対象に1人3万円を支給する臨時給付金や、3世代同居を進めるため玄関や台所を複数設けた住宅を新築する際の補助金などが盛り込まれている。また、TPP交渉の大筋合意を受けた農林水産業の競争力の強化策として、水田の大規模化や、畜産と酪農への設備投資を補助する経費なども計上されている。
一方、衆議院議院運営委員会は理事会を開き、新年度・平成28年度予算案が国会に提出される22日、衆議院本会議で安倍総理大臣の施政方針演説など政府4演説を行うとともに、これに対する各党の代表質問を来週26日と27日に行うことで与野党が合意した。
与党側は、速やかに新年度予算案の審議に入り、早期成立を目指したいとしているが、野党は、直前に週刊文春が報じた甘利経済再生相の金銭疑惑を受けて、追及を強める方針で、週明けから波乱含みの展開が予想される。