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2016-01-10 国政レポート(1月10日)

■衆院予算委員会始まる 経済を巡り応酬 若者の票も意識

衆院予算委員会は8日午前、安倍首相と全閣僚が出席して、2015年度補正予算案に関する基本的質疑が行われ、本格的な論戦が始まった。夏の参院選を控え、「経済成長」にこだわる自民党に対し、民主党は「より幅の広い低所得者対策」を主張した。
安倍首相は、自らが掲げる「1億総活躍社会」について、「TPP(環太平洋経済連携協定)の経済拡大効果や政策を総動員して実現していく。成長の果実を分配に回し、安定した社会基盤でさらに成長する好循環の社会経済を実現する」と語った。
これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は「アベノミクスは失敗だった」と印象づける作戦に出た。「安倍内閣は確かに株価など目に付きやすい派手な数字は上げたが、実際はどうか。都合の良い数字だけを並べる言葉にまどわされるのはやめませんか」 枝野氏は統計データを次々と挙げて「実質賃金が大幅に下がり、非正規雇用しか増えていない」と指摘。アベノミクスは大企業や高所得者への優遇策と断じ、「庶民の暮らしは良くなっていない」との訴えだ。
しかし、安倍晋三首相も、「民主党政権時より2割も倒産件数を減らした」「民主時代の高知県の有効求人倍率は0.64。それが1になった」などと民主政権時代との比較データを列挙して反論した。「雇用状況が良くなったことは、さすがの枝野さんも認めるでしょう」と切り返し、「経済に弱い民主」とのイメージを強調した。
夏の参院選から18、19歳も選挙権を得るため、若者を意識した応酬もあった。
民主の山井和則氏は1人当たり3千円の「子育て給付金」の廃止などを批判。対する首相は「民主政権時代の3年間で正社員は59万人減ったが、私たちはプラスに変えた」と反論した。
批判合戦は次第に過熱し、民主の階猛氏が「国会から出席を求められるのは説明のためであって、我々に対して批判するためではない」と指摘すると、安倍首相は、「(政府が)反論したり批判したりすることは絶対にダメだというのはおかしいのではないか」と反発した。
夏の参院選をにらんだ激しい攻防の背景には、経済政策をめぐる基本的な「哲学」の違いがある。
与党が合意した消費税の軽減税率について、枝野氏は財務省試算を引用し、年収200万円未満の世帯が受ける恩恵は年約8千円に対し、年収1500万円超の世帯では年約1万7千円と指摘。「どこが低所得者対策なのか」と批判した。
民主の経済政策の柱は「格差是正」。所得が少ないほど負担感が増す消費増税の「逆進性」対策として、低所得者限定の「給付付き税額控除」の導入を主張。軽減税率は受け入れられないと考えている。
安倍首相は、軽減税率について「(軽減される)絶対額ではなく、収入に占める割合ではかるべきだ」と語り、一定の低所得者対策になると主張。「痛税感の緩和に効果がある」とも繰り返した。消費増税による景気の落ち込みを防ぐ効果があり、「経済成長」にも貢献するという理屈だ。高齢者に配布する3万円の臨時給付金も同様で、首相は「高齢者は消費傾向が高く、今年前半の景気の下支えになる」と景気への効果を期待する。
初日の論戦は、与党側のほうに説得力があったように思える。
論戦は三連休明けに再開される。

■民主の党名変更、岡田代表、柔軟姿勢変更示唆

民主党の岡田克也代表は8日の記者会見で、維新の党と新党を結成する可能性に言及した。これまでは慎重な発言を繰り返してきたが、「参院選までに合流するなら、3月末までに決断しないと間に合わない」と語り、春までに決断する可能性を示した。両党は衆院で統一会派を組んで連携が進んでおり、条件が整えば合流に踏み込む構えだ。
その上で、岡田代表は、維新の党とともに新党を結成する場合、党名を変更する可能性に言及した。党名変更に慎重な立場から、柔軟姿勢に転じた格好だ。
岡田氏は、新党結成の判断時期を3月に設定した理由を記者団から問われ、「党名が変われば周知徹底も必要で、地方組織も含め、政策や綱領、規約などの準備も必要になる」とし、新党結成の際の党名変更も排除しない考えを示した。夏の参院選までに新たな党名を浸透させるには、一定の時間が必要になるとの認識を示したものだ。新党の結成方法については「まだ何も決まっていない」とするにとどめた。
党名変更は、維新側が強く求めている。「民主党政権時代のマイナスイメージを払拭したい」(維新幹部)との思惑がある。岡田氏はこれまで「名前を変えれば国民が信頼してくれるということではない。看板の掛け替えでは駄目だ」などと述べていた。
両党は政府提案の今年度補正予算案の組み替え動議を提出する方針でも一致した。両党が「ばらまき」と批判する3万円の臨時給付金制度の廃止を求める考えで、岡田氏は会見で「給付金は選挙対策だ」と改めて批判した。

■民主党の嫌がらせ?  大阪維新の会反発、初日審議欠席
おおさか維新の会と改革結集の会は8日、衆院予算委員会の審議を欠席した。質問時間の割り当てを巡り、民主党に抗議の意思を表すためだとしている。
質問時間は通常、自民、民主両党の担当者が協議して与野党の配分を決め、その後、各党の配分が決まる。議席数に応じて割り当てられるのが慣例だ。今回は民主党が、衆院代表質問で「我々は与党でも野党でもない」と宣言したおおさか維新の会と改革結集の会を「与党か野党かわからない」としたため、与野党双方の持ち時間から両党に、それぞれ24分と9分割り当てられることになったもの。
両党はこれを不服とし、委員計3人が8日の審議を欠席した。おおさか維新の松井代表は8日、大阪市内で記者団に、「民主党の子供じみた嫌がらせだ」と述べ、野党として扱うよう求めた。

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