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2016-01-05 第190回通常国会開会 短期決戦の様相

第190通常国会が4日召集され開会した。1992年以降では最も早い召集となる。会期は6月1日までの150日間だが、5月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、7月の参院選を控えており、事実上、「5月の大型連休ごろまでの短期決戦」(自民国対幹部)となる見通しだ。安倍政権は国会論戦で、参院選をにらんで経済と外交を前面に押し出す。昨年の安保保証法制のような対決型法案はなるべく出さず、実績を訴え支持率維持を狙う。参院でも議席の3分の2以上を確保すれば、憲法改正の発議が可能となることも視野に入れる。
開会日の4日には衆参両院で安倍晋三首相が外交報告、慰安婦問題で昨年末に日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」で合意したことについて、「日韓関係が未来志向の新時代に入ると確認している」と強調。昨年11月の日中韓首脳会談については「協力の枠組みの完全回復などで合意し、非常に有意義だった」と述べた。一方、南シナ海での中国の海洋進出を念頭に「私が提唱した、武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならないという原則が、着実に国際社会に浸透しつつある」と自信を見せた。
引き続き、麻生太郎副総理兼財務相が4日に提出した総額3兆3213億円の15年度補正予算案について衆参両院本会議で財政演説を行い、「今こそ少子高齢化という構造的課題に取り組む」と説明した。
政府・与党は補正予算案を、1月中旬までに成立させ、下旬には16年度予算案を提出し、年度内の成立を目指す。
補正予算案については、低所得の高齢者らに1人3万円を配る臨時給付金が計上されていることから、民主党や維新の党が「選挙前の合法的な買収だ」と反発。バラマキ批判は自民党内にもくすぶっており、激しい論戦が予想される。
予算案の処理後、焦点の一つ、17年4月の消費再増税に合わせて導入する軽減税率を含む税制関連法案の審議に移る。野党側は1兆円の財源確保の先送りや適用範囲の「線引き」を巡り、厳しく追及する方針だ。違憲と指摘された昨年9月成立の安全保障関連法や閣僚の政治資金を巡る問題なども議論になりそうだ。
一方、政府・与党は、大筋合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の国会承認を目指す。ただ、米国では11月の大統領選を控えて議論が停滞する見通しであることを踏まえ、日本での議論が先走りすることのないよう、関連課題を集中審議する衆参の特別委員会設置は見送った。
安倍晋三首相は4日に首相官邸で行った年頭記者会見で「内政でも外交でも本年は挑戦、挑戦、そして挑戦あるのみ。未来へ果敢に挑戦する1年とする決意だ」と述べて政権運営に強気で臨む姿勢を見せた。首相は会見で、憲法改正について「参院選でしっかり訴えていく」と強調。参院選の勝敗ラインについては「自公で過半数を確保したい」と述べ、衆参同日選については「全く考えていない」と述べた。また、「2020年東京五輪・パラリンピックを成功させ、さらにその先を見据えながら新しい挑戦を始める年にしたい」と述べ、長期政権に意欲を示した。
外交にも強い意欲を見せた。5月に開催する主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や日中韓首脳会談の議長国を務めることや、国連安全保障理事会の非常任理事国となることなどを挙げ、「日本外交が世界を引っ張る1年になる」と強調。米欧の主要7カ国(G7)を「自由、民主主義、法の支配、人権といった普遍的価値のチャンピオン」と表現し、「G7議長として、世界の平和と繁栄に最も適切な道筋を示すことで世界をリードしたい」と意気込みを語った。
国会論戦は6、7両日に衆参両院で代表質問があり、8日にも衆院で予算委員会が開かれる予定だ。

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