2015-12-11 警鐘:情けなくないのか観光庁 「観光立国」どこへ
日本を訪れる外国人旅行者の受け入れ態勢を整えるため、政府は、今年度の補正予算案に、いわゆる民泊の支援策など観光振興のための費用として総額でおよそ100億円を計上する方針を決めた。日本を訪れる外国人旅行者は、ことしは年間で過去最高の1900万人台に達すると見込まれる一方で、宿泊施設の不足が課題となっているからだという。
政府による「国家戦略特区」の指定を受けたうえで、東京・大田区が民泊を一定の条件で認める条例案を7日に可決したという。大阪府に次いで2例目。外国人観光客の急増で課題となっている宿泊施設の不足を解消するため、東京・大田区が区議会に提出していた、いわゆる「民泊」を一定の条件で認めるための条例案だとのこと。
外国人観光客の急増で課題となっている、ホテルなどの宿泊施設の不足を解消するため、政府は東京都や大阪府などを、規制緩和を行う特区に指定し、旅館業法の許可を得なくても、空き家やマンションの空き部屋などを宿泊施設として提供する「民泊」を認める計画だとも言う。
このほか、政府は、外国人が手軽にインターネットに接続できるよう、無料のWi-Fiをホテルや旅館に整備する費用を補助するなど、観光振興の費用として総額でおよそ100億円を補正予算案に計上する方針とのこと。
これらの記事を読んで、私同様、つくづく情けないと感じている方がおられるのではないだろうか。なんと付け焼刃的な、その場しのぎのやり方であろうか。ここに日本の国や政府、政治家のやる気のなさ、本腰を据えて日本を観光立国、観光先進国にしようとしてないのが見え見えで悲しくなってしまう。
宿泊施設が不足しているから、とりあえず民泊で凌ごう。そのために政府予算をつぎ込もう。安易な考え方と税金の無駄遣いに辟易してしまう。百歩譲って「民泊」を許しても良いが、その一方で、外国人観光客とビジネス客の増大と宿泊施設を含む彼らへのホスピタリティをどうするのかという今後の重要な課題に対する抜本的対策がなされていなければならないが、何か具体的に進んでいるのだろうか? あるいはプロジェクトチームがあって、具体策を考えているのだろうか? そういう気配はまったく見えない。こういうところにこそ予算を配するべきではなかろうか。
空き家やマンションの空き部屋を宿泊施設として収入を得るなら、国が援助などせず、事業者が自分で投資してやるべきなのだ。ホテルや旅館にWi-Fiを整備することも補助する必要がどこにあるのか。今や、Wi-Fiはホテルや旅館が当然装備していなければならないものであって、彼ら自身が設備投資すべきものである。政府が補助する必要などどこにもない。Wi-Fiを整備したいなら、観光施設など公的な場所等に整備すればよい。
何が「国家戦略特区」だ。国の予算を使わず、民間の投資と事業で、国や地方に収益をもたらすIR(統合型リゾート)のようなものにこそ、「国家戦略特区」に指定すべきだろうと思う。