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2015-11-27 一億総活躍社会へ:新三本の矢・緊急対策

政府は、安倍総理大臣が掲げる一億総活躍社会の実現に向けた施策を検討する国民会議を、26日総理大臣官邸で開き、新三本の矢の数値目標である(1)国内総生産(GDP)600兆円、(2)希望出生率1.8、(3)介護離職ゼロを達成するための緊急対策を取りまとめた。
緊急対策は、基本的に今年度の補正予算案で対応する、「特に緊急に対応すべき施策」と、来年度以降対応する施策に分類されている。
このうち「特に緊急に対応すべき施策」として、GDP600兆円に向けて、所得の低い年金受給者に対し、現金給付を行うとしている。GDP600兆円では、個人消費押し上げ効果を狙い、低年金の人への支援策も盛り込んだ。1人3万円の給付金支給を検討している。結婚や出産に関する希望がかなった場合に想定される「希望出生率1.8実現」に関し、2017年度末までの保育施設の拡充目標を、現在の「40万人分」から「50万人分」に拡充することや、不妊治療への助成の拡充、それに3世代同居のための住宅建設支援などを盛り込んでいる。
介護のために退職を余儀なくされる「介護離職」は年間10万人と推定されている。これをゼロにする目標に向けては、介護の施設・在宅サービスなどの拡充目標を、現在の「38万人分」から「50万人分以上」にまで引き上げた。介護人材確保策として介護福祉士を目指す学生らを対象に学費貸付制度の対象者を拡大する。また、都市部に特別養護老人ホームなどを確保するため、国有地の賃料を減額したり、設置基準を緩和したりすることを明記している。
一方、来年度以降対応する施策としては、消費を底上げするため、最低賃金を、年率3%程度の引き上げをめどとし、全国平均で1,000円となることを目指すとしている。
また、子育て支援として、幼児教育の無償化の拡大や、所得に応じて月々の返済額が変わる、所得連動型の奨学金の導入を進めるほか、短時間労働者などの出産前後の負担を軽減するため、国民年金の保険料免除を検討するとしている。
さらに介護では、現在は1回で93日間の取得が認められている介護休業を、分割して取得できるようにすることや、介護休業中の給付水準を今の40%から育児休業と同じ67%を念頭に引き上げることを検討するとしている。
安倍総理大臣は対策の決定を受けて、「アベノミクスの第2ステージでは、子育てや社会保障の基盤を強化し、それがさらに経済を強くするという、成長と分配の好循環を構築していきたい」と述べた。その上で、「成長か分配のどちらを重視するのかという議論が何年も積み重ねられてきたが、そうした論争に終止符を打つ。『一億総活躍社会』とは、成長と分配の好循環を生み出していく、新たな経済社会のシステムの提案だ」と述べた。
そして、安倍総理大臣は「デフレ脱却が見えてきたいまこそ、少子高齢化という構造的な問題の解決に向けて動き出すべきときであり、今回の緊急対策はその第1歩だ。この緊急対策を内閣の総力を挙げて直ちに実行に移していく」と述べた。
これを受けて、安倍総理大臣は、27日、今年度の補正予算案を編成するよう指示した。
これまでの調整で、補正予算案には、所得の低い年金受給者およそ1000万人に対し、1人当たり3万円を支給することや、保育や介護の受け皿の整備を進めていくために、基金を積み増しするための予算措置が講じられる見通しだ。
ただ、少子高齢化という構造的な問題の解決に向けて、保育や介護を担う人材の待遇改善や、幼児教育の無償化の拡大などが必要とされており、こうした取り組みを進めるために、来年度以降、恒久的な財源をどのように確保するかが課題となっている。

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