IRビジネス研究会

レポート

第12回「IR*ゲーミング学会」総会



IR*ゲーミング学会(谷岡一郎学会長)は平成27年6月29日、都内港区の第一ホテル東京(港区)で「第12回学術大会・総会」を開催し、国内外から500名近い関係者が出席した。
会には、海外からの多彩なゲストスピーカーに加え、超党派の国際観光産業振興議員連盟(IR議連)の会長を努める自民党の細田博之衆議院議員らが出席した。会の最後におこなわれた、座談会「IR推進法案の行方と国際観光産業振興議員連盟の今後の展開」では、学会会長を務める谷岡一郎大阪商業大学学長の司会進行の下、細田会長に加え、維新の党の小沢鋭仁衆議院議員、民主党の鈴木克昌衆議院議員、自民党の萩生田光一衆議院議員のIR議連幹部四名に美原 融大阪商業大学教授(学会副会長)が加わり、現在衆院に提出されているIR推進法案の成立を今国会で目指す方針を改めて確認した。
同学会は平成15年2月に発足し、IRとゲーミングのほか、観光、余暇、文化などについて法学、経済学、社会学など多面的なアプローチによって研究を行い、長年にわたってIR推進法案成立に向けた議論をリードしてきたことによって知られる。
 登壇者は一様に、IRが日本の成長戦略に重要であるとの認識を強く持ち、IR推進法案の早期成立を願い、そして引き続き前向きに取り組む姿勢を示した。

「ゲーミング部会」に引き続いておこなわれた第二部「IR部会」では、まず、リチャード・マグナス前シンガポールカジノ規制機構総裁が「Structuring of Regulatory Gaming Regime in Singapore-its success and how Japan could learn from such?」というテーマでオープニングスピーチをおこない、シンガポールがカジノを含む統合型リゾート(IR)を作るにあたって、どのように新しい制度を構築し、カジノに付随する諸問題に取り組んできたかを説明した。そして、「日本も、諸外国の制度を学び研究することによって、自らが構築した新しい制度の下で、健全なるIRを実現してほしいし、日本にはそれができるはずだ」と励ました。
 続いて、世界の国々でIRやカジノを展開する各社の代表がプレゼンテーションをおこなった。登壇したのは、順に、Caesars Entertainment/Genting Singapore/Marina Bay Sands(Las Vegas Sands)/Melco Crown Entertainment/MGM Resorts International Japan/Wynn Resortsと、いったいずれも世界を代表するオペレーターであった。
スピーチでは、各社がさまざま日本市場参入に向けたアピールを行ったが、その中での共通認識として強調されたのは、IRについて、日本は世界で残された最大の未開拓市場であることであり、各IRは広域経済圏を独占する事業体であり、高い収益性が確実視されるということであった。また、彼らは一様に外資オペレーターの参入意欲が衰えることはあり得ないことも強調していた。


最後におこなわれた座談会「IR推進法案の行方と国際観光産業振興議員連盟の今後の展開」の中で、細田会長は、「国会が延長され時間ができたことによって、まずは今国会で成立させたいということが一つ。また、これは再三言っているが、今回の法案は基本法なので、実施法が政府によって提出される中で、依存症問題や金融問題などの解決策が示されていくことになる」と、法案成立に向けた意気込みを表したほか、懸念されている諸問題に対する対応手順を示した。
小沢IR議連副会長は、「維新の党は全党挙げて推進派だ。いかなるときであっても、すべて公約として掲げて、選挙を戦ってきた」と実績を強調しつつ、「維新の党は引き続きIRの推進エンジンとなる」と力強く語った。
美原学会副会長が「日本は新しいことにチャレンジすることが必要」と述べ、最後に司会進行を務めた谷岡学会長が「依存症など負の側面はコントロール可能。日本に世界で一番良いIRを実現したい」と締めくくった。

総会後の懇親会には多くの衆参国会議員が駆けつけ、ステージ上でIR推進法案の今国会中成立に向けて、大いに気勢をあげていた。

参加者約500名


細田会長


懇親会の模様

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