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2016-01-28 甘利大臣辞任表明 2度の現金授受認め引責

甘利 明経済再生担当大臣は、みずからの事務所が建設会社から現金を提供されたなどと報じられたことを受けて記者会見し、平成25年11月に大臣室で、またおととしの2月に神奈川県大和市のみずからの事務所で、それぞれ建設会社の関係者と面会した際、いずれも50万円の現金を受け取ったことを認めた。
週刊文春は3年前に甘利大臣の大臣室で「建設会社の社長と総務担当者が大臣室で菓子折の紙袋の中に、封筒に入れた50万円を添えて大臣に手渡した。大臣は50万円の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまった」と報じた。
これについて、甘利大臣は会見の中で「菓子折の紙袋をもらったが、退出後に、秘書から中にのし袋が入っていると報告を受けた。政治資金としてきちんと処理するよう指示した。スーツの内ポケットにしまったというのは私の記憶とは違う」と述べた。
週刊文春は、おととし2月、甘利大臣の地元の大和事務所で建設会社の総務担当者と面会した時の状況について「総務担当者がURとのトラブルを説明する資料を大臣に渡した。大臣は資料に目を通したあと、秘書に対し資料は大臣秘書官に預けるよう指示した。その後、大臣は総務担当者が差し出した50万円が入った封筒を受け取った」と報じている。
甘利大臣は会見の中で「総務担当者は以前、大臣室を訪問させてもらったお礼と病気の快気祝として事務所を訪れた。その際、総務担当者からは会社の敷地から産業廃棄物が出て困っているという話をされた」とし、「秘書に対し産業廃棄物などに関する資料を東京の秘書に預けるよう指示した。その後、総務担当者から菓子折の入った紙袋と封筒を受け取った。これについて大臣室訪問の謝礼と病気を克服して頑張れという政治活動の応援の趣旨だと受け取り、秘書に対して封筒に入っていた現金を適正に処理するよう指示した」と述べた。
甘利大臣は第三者の調査に対して秘書が回答した内容として「3年前の11月に大臣室で受け取った50万円とおととし2月に大和事務所で受け取った50万円の、合わせて100万円について、大和事務所で受け取った3日後にまとめて受け取ったと政党支部の政治資金収支報告書に記載した」と述べた。
その上で収支報告書の記載が遅れた理由については「大臣の病気で事務所が慌ただしかったためで、領収書は建設会社に送付した」と秘書が回答していることを明らかにした。甘利大臣は「週刊誌で取り上げられた秘書は、建設会社や総務担当者から金銭の授受や接待を多数回受けていたことを認めている。今日付けで辞任した」と述べた。
その後甘利経済再生担当大臣は、みずからの事務所が建設会社から現金を提供されたなどと報じられたことを受けて、新年度・平成28年度予算案など、今後の国会審議に影響が出ることは避けたいとして、閣僚を辞任する意向を明らかにした。
甘利大臣は「日本経済はデフレ脱却に向けた瀬戸際にある。重要法案の成立に向けた阻害要因は取り除いていかないといけない。もとより私もその例外ではない。本日ここに閣僚の職を辞することを決断した」と語った。そして、「自分自身なんら恥じることはしていなくても、国民の政治不信を秘書のせいと責任転嫁することはできない」とも指摘。「私の政治家としての美学、生きざまに反する」と述べた。
甘利大臣は、第2次安倍内閣発足当初から経済再生担当大臣を務め、安倍内閣の経済政策・アベノミクスの「三本の矢」の一つである、成長戦略の策定にあたってきた主要閣僚の一人で、大筋合意したTPP=環太平洋パートナーシップ協定交渉でも大きな役割を果たした。
安倍総理大臣は、これまで、甘利大臣が説明責任を果たすことに期待を示したうえで、引き続き、経済再生などの重要な職務にあたってほしいという考えを示していて、政府は来月4日、ニュージーランドで行われるTPPの署名式に、甘利大臣を派遣する方向で準備を進めていた。
野党は辞任した秘書の参考人招致を含める疑惑追及とともに、甘利大臣の議員辞職要求や、安倍首相の責任を追及する予定だ。与党主導で行われてきた国会運営への今後の影響は避けられない見通しで、波乱含みだ。

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