IRビジネス研究会

世界のIR

第4回 マカオ篇パートⅠ

アジア随一の規模と歴史を誇る「マカオ」

中華人民共和国 マカオ特別行政区は30km2足らずの面積で、中国本土と隣接した「マカオ半島」、離島である「タイパ」と「コロアン」、そしてタイパとコロアンの間を埋め立てた「コタイ」地区に大別されます。
1840年代ポルトガル植民地時代にカジノが合法化されアジアにおいて最も古くて長い歴史を持っています。
マカオ半島にはホテル&カジノというパターンが多く、IR(統合型リゾート)と呼べるものはコタイ地区にあると言えます。

埋立地であるコタイ地区には、今もIR (統合型リゾート)が続々と建設されています。マカオ政府はコタイ地区を世界的競争力のあるリゾート地区として発展させることを目標にしており、カジノ付きリゾートホテル、エキジビションセンター、スポーツ関連施設といった大型IR (統合型リゾート)建設を中心とした都市計画を進めています。
2002年にライセンスが解放されて以来開発が続いていますが、「ギャラクシー・マカオ」が開業したのが2011年で、IRの歴史は始まったばかりです。

コタイ地区のIR (統合型リゾート)は独自のテーマ性を持った巨大なリゾートホテル、MICE(会議=Convention、研修旅行=Incentive Travel/Tour、国際会議=Convention、展示会=Exhibition/Event)、ショッピングモール、娯楽施設を内包した形を有しており、「世界のIR」第1回目と第2回目にご紹介したラスベガスに非常に近いものです。「ヴェネチアン・マカオ」は運営がラスベガスに本社があるラスベガス・サンズであるということもあって、他も追随する傾向があります。もちろん「シティ・オブ・ドリームズ」、「ギャラクシー・マカオ」といった、大規模なリゾートエリアにいくつかのホテルが入るマカオならではのスタイルはあるものの、テーマ性を持たせ、幅広い年齢の来訪客をターゲットにしているという点でもラスベガスに似通ったところがあります。
今後はギャラクシー・マカオの中に「JWマリオット・ホテル・マカオ」、「ザ・リッツ・カールトン・マカオ」(1250室超)が、そしての「パリジャン・マカオ」(3000室クラス)、「MGMコタイ」(1500室超)、「ウィン・パレス」(2000室超)といったラスベガスに本社のある大型ホテルのオープンが予定されており、マカオのホテルの供給部屋数は5万室にもなる規模で開発が進みさらなる拡大が続く模様です。

もともとコタイ地区はマカオ半島の非常に高い人口密度を下げるべく開発が始まりました。しかしその後、IR (統合型リゾート)の開発へと舵をきりました。
マカオのインバウンド政策はカジノ頼みの傾向が強く、そのカジノを訪れる客が頭打ちになったことから、さらなる
来訪客を得るための施策として、IR (統合型リゾート)が選択されたのでした。
IR (統合型リゾート)の開発を進めた結果、2014年度には来訪客が3150万人(前年比約7.5%増)に達し、マカオ全体のホテル客室稼働率は昨年第4四半期に87.0%、年間通じて86.5%と高水準をキープしました。カジノの売り上げを見るとラスベガスの約7倍にあたる4兆円後半の規模にまで成長しています。

マカオ発展のカギを握る、コタイ地区

コタイ地区はマカオ半島の南側に位置するコロアン島とタイパ島の間にあった浅瀬を埋め立てたエリアで、コロアンの「コ」とタイパの「タイ」を組み合わせて「コタイ」と名付けられました。現在はIR (統合型リゾート)開発が盛んで、計画では約20ものホテルが建設されることになり、合計5万室を越える規模となります。中心となるのがコタイストリップ(金光大道)と呼ばれる繁華街です。
マカオ政府はコタイ地区を世界的競争力のあるIR (統合型リゾート)地区として発展させることを目標にして、大型IRを中心にした都市計画を進めています。


「コタイ・ストリップ」

コタイ地区の中心となるのが米国のカジノやホテルが立ち並ぶ通り、「ラスベガス・ストリップ」に倣って名づけられたコタイ・ストリップ(金光大道)です。マカオ国際空港から車で5分、マカオ フェリーターミナルから車で15分の場所に位置しています。


ヴェネチアン・マカオが2007年にオープンしてから、ザ・プラザ、シティ・オブ・ドリームズ、ギャラクシーマカオ、サンズコタイセントラルと、毎年のように大型施設がオープンしています。今後も、ウィン、MGM、スタジオシティといった大型施設のオープン、拡張が予定されています。

それぞれの施設はとにかく規模が大きいのが特徴です。例えばアジア最大級のMICE施設を持つヴェネチアンは3,000室のホテル、350のショップとレストランを有するショッピングモール、15,000人収容の多目的アリーナ、東京ドーム1個分の広さに及ぶ巨大カジノ、東京ドーム1.5個分の広さを持つMICEが1つの施設に収まっています。


コタイ地区のコタイ・ストリップには現在、巨大な複合リゾート施設「ザ・ベネチアン・マカオ・リゾート・ホテル」、「シティ・オブ・ドリームズ」、「ギャラクシーマカオ」、そして「サンズ・コタイ・セントラル」の4つがあり、それぞれの施設がすべて徒歩圏内にあります。
ザ・ベネチアン・マカオ・リゾート・ホテルは全室スイートの客室を有し、アリーナやシアターも備え、建物内に流れる運河をゴンドラで遊覧できます。シティ・オブ・ドリームズには「クラウン・タワーズ」、「ハードロック・ホテル」、「グランドハイアット」の3つのホテルがあり、水を使ったアクロバットショーが見られるシアターでも知られています。ギャラクシーマカオには「バンヤンツリー」、「ギャラクシー・ホテル」、「ホテル・オークラ」の3つのホテルがあり、屋上に巨大な波のプールも備えています。それぞれの施設で、ホテルでの宿泊に加えて、カジノやショッピング、エンターテイメントが楽しめるようになっています。

ヴェネチアン・マカオ The Venetian Macao Resort Hotel

2007年にオープンしたラスベガス・サンズが、マカオ半島にあるマカオ・サンズ゛に続いて建設したホテルです。イタリアのヴェベネチアをモチーフにしています。
350店舗以上のショッピングモールや、40店舗以上のレストランがあり、ホテル内には15,000人の収容能力を持つコンサート/スポーツ会場「コタイアリーナ」や、「ヴェネチアン・シアター」、巨大な面積の展示会場「コタイエキスポ」があります。



ヴェネチアンシアター The Venetian Theatre


コタイアリーナ Cotai Arena


キッズアットヴェネチアン KIDS AT VENETIAN


グランドキャナルショッパーズ GRAND CANAL shoppers

グランドキャナルショッパーズ 
このショッピングモールはベネチアンマカオと隣接するフォーシーズンズ、プラザマカオ、サンズコタイセントラルホテルとつながっており、3箇所合わせると1,000軒以上という非常に多くのショップが並ぶマカオ最大のショッピングモールです。


ヴェネチアンプールズ VENETIAN POOLS


ゴンドラライド Gondola Rides


アジア最大級のMICE
(会議=Convention、研修旅行=Incentive Travel/Tour、国際会議=Convention、展示会=Exhibition/Event)

5万人を収容する11万㎡の会議・コンベンション・エキシビションセンター。

総面積7万5000㎡に及ぶ展示会用のスペース「コタイ・エキスポ」のほか、コンサートなどが開催される1万5000席の「コタイ・アリーナ」があり、ローリング・ストーンズなどこれまで数多くの有名アーティストによるコンサートが開かれてきました。

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