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2016-02-26 人口減少時代到来 5年間に0.7%、100万人弱減少

ついに来るべき時が来た。頭では理解していても、やはり衝撃は隠せない。
高市早苗総務相は26日の閣議で、2015年国勢調査の人口速報値を報告した。
2015年に行った国勢調査によれば、日本の人口は1億2711万47人で、前回・5年前の2010年の調査と比べて94万7000人余り、率にして7%減った。男性は6182万9237人、女性は6528万810人。大幅な移民や難民の受け入れなどない限り、減少は今後さらに加速する。
国勢調査で人口が減少したのは調査開始以来初めてで、総務省は「外国人の増加など社会的な人口増加よりも、死亡者数が出生者数を上回る自然減のほうが毎年大きいことが、一番の要因と考えられる。日本は人口減少の局面に、はっきり入ったと言えるのではないか」と説明している。同省が毎月発表している推計人口では08年に総人口のピークを迎えたが、10年の前回国勢調査では在留外国人の増加などの影響で、05年比0.2%増だった。
5年ごとに行われる国勢調査で日本の人口が減少したのは、95年前の大正9年(1920年)に調査を始めてから今回が初めてとのこと。
都道府県別では、前回より人口が増加したのは、東京・愛知・埼玉など8つの都と県で、このうち沖縄と福岡では人口増加率が前回を上回った。一方、人口が減少したのは39の道府県で、大阪が増加から減少に転じたほか、茨城や三重、大分など33の道府県では人口減少率が前回より大きくなった。
大阪府が68年ぶりに減少するなど39道府県で人口が減り、東京圏への一極集中が進んでいることがわかる。東京圏の人口は3613万人で、5年間で51万人増加。全国に占める割合は0.6ポイント高くなり、28.4%に達した。増加率が最も高かったのは沖縄県の3%。
大阪府は0.3%の減少。第2次世界大戦後の1947年の臨時国勢調査以来で、10年調査で人口が増加していた9都府県のなかでは唯一、減った。大阪市内は1%増だが、郊外の市町村で減少が目立つ。
日本全体の人口が減るなか、増加を維持したのが東京圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)と愛知、滋賀、福岡、沖縄の各県。東京都の人口は1351万人と2.7%増えた。
市町村別では、全国に1719ある市町村のうち1416市町村で人口が減少した。人口が減少したのは全国の市町村の82.4%に当たり、前回に比べて6ポイント多くなった。
人口増加率が最も高かった市町村は、福岡県新宮町の22.9%で、逆に人口減少率が最も高かったのは、全域が避難指示区域となっている自治体を除くと、福島県楢葉町の87.3%だった。
また、世帯数は5340万3226世帯で、前回より145万世帯余り、率にして2.8%増えた一方、1世帯当たりの人員は2.38人と、前回を0.08下回り、核家族化の進展に歯止めがかかっていないことが分かった。
15年調査の人口を国連推計による各国の人口と比較すると、日本の順位は10年調査時と同じ10位。しかし、11位のメキシコとの差は10年時点で約900万人あったが、15年では10万人弱まで縮まった。
国勢という名前の通り、人口は国の勢いを示すバロメーターだ。国の勢いが衰えて行くのを、指を加えて見ていては、この国は立ち行かなくなる。深刻な問題だ。票集めのばらまき政策ではなく、今こそ未来を見据えての施策と投資が必要だ。次世代、次々世代に勢いを持続した「日本」を引き継いでもらうために。

※国勢調査: 日本の人口や国民の就業実態などを把握する5年に1度の統計調査。総務省が約70万人の調査員を動員し10月1日時点で全世帯を対象に実施する。日本に3カ月以上住む外国人も含む。調査結果は最も実態に近いとされ、福祉政策や災害対策、選挙制度などの基礎データにする。
西暦の末尾が5の年は簡易調査と呼ばれ、性別や生年月日、就業状況、就業地、世帯数など基本的な17項目を調べる。末尾が0の年の大規模調査は学歴や利用交通手段など、質問項目が増える。

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